第58回日本犯罪学会総会

総会長挨拶

第58回日本犯罪学会総会開催にあたって


第58回日本犯罪学会総会

総会長 小畠 秀吾 

国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 心理学科 
准教授


 第58回日本犯罪学会総会は「ウィズコロナ時代の犯罪学」のテーマで開催いたします。

 2020年初めから新型コロナウィルス(COVID-19)が世界中で猛威をふるい、それは2021年10月の現時点でも続いています。この災厄は、我々の日常を一変させてしまいました。人々は感染の恐怖に怯え、世の中は閉塞感に覆われました。人の往来は激減し、経済活動は停滞しました。「ソーシャル・ディスタンス」の合言葉の下、オンラインでの会議や授業、電子マネーでの決済が普及し、人間同士の直接的な交流は失われました。「犯罪は世相を映す鏡」と言われますが、このような社会の変化は犯罪の発生や形態にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 
 本総会では、慶應義塾大学の小倉孝誠教授に特別講演をお願いしました。
小倉先生は近代フランス文学と文化史をご専門とされ、19世紀の挿絵入新聞「イリュストラシオン」を素材に当時のフランス世相を鮮やかに分析した研究で知られます(『19世紀フランス 夢と創造』、『19世紀フランス 光と闇の空間』、『19世紀フランス 愛・恐怖・群衆』 以上、人文書院)。犯罪を題材としても『近代フランスの事件簿−犯罪・文学・社会』(淡交社)、『犯罪者の自伝を読む』(平凡社新書)など多くのご著書や、『ラスネール回想録』(平凡社ライブラリー)などの翻訳を発表されています。「文学と犯罪の表象−近代フランスの歴史から見る」と題された特別講演では、犯罪を通じた文化史を論じて頂きます。
 
一般演題は、科学捜査、法医学、犯罪心理学の各領域から 9題の応募がありました。いずれも犯罪学の実践知の報告で、多くの示唆を与えてくれる発表になりそうです。
 
シンポジウム「ウィズコロナ時代の犯罪学」では、島田貴仁先生(科学警察研究所)、小西暁和先生(早稲田大学)、矢島大介先生(国際医療福祉大学)、私が登壇し、COVID-19が犯罪学シーンに及ぼした影響をさまざまな角度から検討いたします。
 
総会事務局は会場での通常開催をめざして準備を進めて参りました。現時点で感染状況は収まりつつあるとは言え、未だ終息はしていないため、昨年度同様、オンライン開催とすることに致しました。判断が遅くなり、開催方向変更のご連絡が直前になってしまったことを深くお詫び申し上げます。
 
                        令和 3年11月20日
 
                   第58回日本犯罪学会総会 総会長
                             小畠秀吾