[CO11] Presentation Awards Comedical 2
CO2 造影におけるCO2trace 画像が有用であった下肢動脈治療の1 例
下肢動脈治療における造影剤の使用は、腎機能障害を持つ患者において急性腎不全など造影剤腎症を発症させる一因となる。そのため当院では、腎機能障害を持つ患者の下肢動脈治療に対して、造影剤の使用を最小限に抑えることを目的としてCO2造影を行っている。CO2は血液に溶解し、呼気として身体から排出されるため、副作用が少ない。しかし、造影の際、1フレーム内で撮影範囲の血管内にCO2が満たされることはないため、連続的な画像とならず、病変評価やバルーン、ステント長の決定に苦慮する症例を経験した。そこで今回、当院で使用しているAngio装置(キャノンメディカル社製Infinix)に搭載されているCO2traceを用いて画像を再構成し、治療に使用した。CO2traceとは、連続した血管造影像からCO2の流れをトレースし、1枚の画像を作成することである。また、CO2traceはDSA画像から作成するため、撮影範囲である下肢が動かないことが重要である。当院では鎮静剤を用いて患者が動かないようにし、造影を行っている。症例は浅大腿動脈狭窄症例であった。CO2造影を行った際の動画像表示では連続的な画像にならなかったが、CO2traceを行うことによって、血管像が1枚の静止画像となるため、病変評価やバルーン長の決定などにおけるリファレンス画像として使用することが出来た。下肢動脈治療において、腎機能障害があり造影剤の使用が困難な症例の場合、CO2造影におけるCO2traceを用いた静止画像はリファレンス画像として有用であった。