日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

産科管理 助産

妊娠 分娩

2023年8月5日(土) 11:15 〜 11:45 一ツ橋ホール (日本教育会館 3F)

座長:岡垣 竜吾、関口 由紀

11:25 〜 11:30

[1A13P] 産褥排尿日誌の手書き記録の自動デジタルデータ化アプリ

○森 武俊1,2,3、吉田 美香子4、正源寺 美穂5、吉田 明莉4、姜 琇仁1 (1. 東京理科大学 先進工学部機能デザイン工学科、2. 日本医療研究開発機構 (AMED) ヘルスケア研究開発課、3. 東京大学 次世代知能科学研究センター、4. 東北大学 大学院医学系研究科ウィメンズヘルス・周産期看護学分野、5. 金沢大学 医薬保健研究域保健学系)

キーワード:AI文字認識、デジタライゼーション、スマートフォン

排尿サイクルや下部尿路機能の評価には排尿日誌が活用される.日誌には排尿した時刻,尿量,尿失禁の有無や尿意などが記録される.これは都度手書きで行われておりデジタルデータとしての活用は十分ではない. データ化のためにタブレット入力や尿量重量記録機器なども開発されつつあるものの,紙ベースの日誌のオペレーション時間の短さやぱっと見てとれる一覧性の良さから置き換えは進んでおらず,当分の間紙の利用が続くと考えられる.とはいえ,手書きから下部尿路機能評価に必要な指標へ転換する時間がかかるという課題は解決したい.そこで,手書きの日誌をスマートフォンカメラあるいはスキャナで画像化し,それをAI文字認識により表形式のデジタルデータに変換するシステムを開発した.産後女性113人延べ453日分の手書きの排尿日誌をもとに認識ソフトウェアの仕様を設計し,スマートフォンやタブレット,PCからも利用できるウェブアプリとして実装した. 100日分の産後排尿日誌を対象に認識の性能を評価した.日誌には,日付,時刻,尿量,症状の有無(尿失禁,尿意,切迫感,残尿感)が手書きで記入され,一日2-13回,合計で686回分の排尿が記録されていた.読み取るべき項目は全体で5688箇所で,うち間違いも読取漏れもなく正しく読めていたのは5565箇所,97.8%であった.正しく読めなかったのが多いのは時刻と尿量がそれぞれ686回中13回であった. AI文字認識に適した日誌フォーマットを用いれば正解率はより向上し読取ミスの修正が不要となり,手書きの排尿日誌のデジタルデータ化と下部尿路機能指標演算の自動化が実現されることが期待できる.