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[1A21P] 産後肛門括約筋機能評価における3-D経会陰超音波の有用性について
キーワード:会陰裂傷、肛門括約筋、3-D経会陰超音波
【背景】分娩時に肛門括約筋の断裂を伴う第3~4度会陰裂傷は全経腟分娩のおよそ0.7~8%で発生すると言われている。3-Dimension(以下3D)経会陰超音波を使用した報告ではより高頻度で認めるとの報告も近年、散見される。自覚症状で経過良好と判断してよいかどうか、将来の便失禁発生のリスクを超音波所見から得られるのかなどは不明である。【目的】経腟分娩の肛門括約筋への影響を検討すること。【方法】妊娠20週の5例、経腟分娩後1ヶ月(VD群)の15例、帝王切開分娩後1ヶ月(CS群)の5例で、3D経会陰超音波を用いて外肛門括約筋の弛緩時と収縮時の厚さの変化と恥骨直腸筋の移動距離を比較した。【結果】外肛門括約筋の厚さの変化(収縮時厚/弛緩時厚)は帝王切開例、経腟分娩第2度会陰裂傷、経腟分娩第3度会陰裂傷、妊娠20週妊婦で有意な差は認められなかった。恥骨直腸筋の移動距離は帝王切開例8.15mm、経腟分娩例7.6mm、妊娠20週妊婦12.78mmで妊娠中の妊婦の恥骨直腸筋移動距離が長かった。【結論】3D経会陰超音波所見からは外肛門括約筋の機能は分娩様式に依らず、分娩前に近い状態に修復されていると思われた。将来的な便失禁のリスクとしては、分娩様式や会陰裂傷の程度に依らない分娩そのものの負荷の寄与が大きい可能性が示唆された。今後は未妊婦との比較や、産褥のより多数例で更に長期の評価を検討して行きたい。