14:30 〜 14:45
[1A28W] [ワークショップ 女性の骨盤外科とvNOTES] vNOTESによるPOP手術のPros & Cons
キーワード:NTR、腟式腹腔鏡手術、仙骨子宮靭帯固定
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1986年 大阪大学医学部卒業
1995年 Massachusetts General HospitalにてDr. Nicholsの手術に接してUrogynecologyを知る
2005年 大阪急性期・総合医療センター 産科・婦人科 主任部長
e-mail: takemuraアットマークgh.opho.jp
POPに対する手術治療ではlevel 1の修復が最も重要である。しかし、我が国では従来腟式子宮摘出と腟壁形成術のみが行われ、level 1の挙上手技を行わないことが多かった。level 1挙上のためには、狭い視野の中で、子宮摘出よりもさらに奥の操作が必要なことが、実施の障害となっていた。
術後再発症例や、再発リスクの高い症例に対するメッシュグラフト手術は有効な手段だが、それ以外の症例について、NTRはメッシュによる合併症のリスクを負うことなく、かつ低侵襲で、低コストの手術を比較的短い手術時間で実施することが可能であり、現在でも第一の選択肢として考慮するべき術式である。
内視鏡手術のより低侵襲化を目指す流れの中で、NOTES (Vaginal natural orifice transluminal endoscopic surgery)という概念が提唱された。なかでも腟を利用するV-NOTESは、従来の腟式手術と違って、モニターに映した手術視野を術者と助手で共有しながら手術が行えるため、手術の安全性のみならず、手術教育の面でも有効である。また、付属器切除も直視下に安全に行うことが可能である。さらに、仙骨子宮靭帯の確保も尿管の走行を確認しながら直視下に行うことが可能であり、従来の腟式手術に比べてより安全に、かつより高位で仙骨子宮靭帯への固定部位を確保することが可能である。これらは、V-NOTESによるNTRの大きな利点と考えられる。
一方で、子宮頸部延長を伴う子宮下垂が主で、膀胱瘤が軽度である場合、子宮頸部切開部から腹腔までの距離が延長しているために、腹腔内への到達が容易ではないことがある。また、腹腔内へ到達して、V-pathⓇの装着を行っても、延長した子宮頸部が邪魔になって鏡視下での視野確保が困難なことが起こりえる。しかし、このような場合でも従来の腟式子宮全摘術を行ったうえで、V-pathを装着して、付属器摘出と腟断端仙骨子宮靭帯固定(USLF)を鏡視下で実施することには、従来の腟式手技で行うことに比べて優位性があると思われる。
1986年 大阪大学医学部卒業
1995年 Massachusetts General HospitalにてDr. Nicholsの手術に接してUrogynecologyを知る
2005年 大阪急性期・総合医療センター 産科・婦人科 主任部長
e-mail: takemuraアットマークgh.opho.jp
POPに対する手術治療ではlevel 1の修復が最も重要である。しかし、我が国では従来腟式子宮摘出と腟壁形成術のみが行われ、level 1の挙上手技を行わないことが多かった。level 1挙上のためには、狭い視野の中で、子宮摘出よりもさらに奥の操作が必要なことが、実施の障害となっていた。
術後再発症例や、再発リスクの高い症例に対するメッシュグラフト手術は有効な手段だが、それ以外の症例について、NTRはメッシュによる合併症のリスクを負うことなく、かつ低侵襲で、低コストの手術を比較的短い手術時間で実施することが可能であり、現在でも第一の選択肢として考慮するべき術式である。
内視鏡手術のより低侵襲化を目指す流れの中で、NOTES (Vaginal natural orifice transluminal endoscopic surgery)という概念が提唱された。なかでも腟を利用するV-NOTESは、従来の腟式手術と違って、モニターに映した手術視野を術者と助手で共有しながら手術が行えるため、手術の安全性のみならず、手術教育の面でも有効である。また、付属器切除も直視下に安全に行うことが可能である。さらに、仙骨子宮靭帯の確保も尿管の走行を確認しながら直視下に行うことが可能であり、従来の腟式手術に比べてより安全に、かつより高位で仙骨子宮靭帯への固定部位を確保することが可能である。これらは、V-NOTESによるNTRの大きな利点と考えられる。
一方で、子宮頸部延長を伴う子宮下垂が主で、膀胱瘤が軽度である場合、子宮頸部切開部から腹腔までの距離が延長しているために、腹腔内への到達が容易ではないことがある。また、腹腔内へ到達して、V-pathⓇの装着を行っても、延長した子宮頸部が邪魔になって鏡視下での視野確保が困難なことが起こりえる。しかし、このような場合でも従来の腟式子宮全摘術を行ったうえで、V-pathを装着して、付属器摘出と腟断端仙骨子宮靭帯固定(USLF)を鏡視下で実施することには、従来の腟式手技で行うことに比べて優位性があると思われる。