日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

保存的治療(POP)

ペッサリー

2023年8月5日(土) 13:15 〜 13:45 第1会議室 (日本教育会館 8F)

座長:増田 洋子、古谷 健一

13:40 〜 13:45

[1B9P] ネオアジュバント リングセラピー

○井川 洋1、牧志 綾1、草西 洋1 (1. 明石市立市民病院 産婦人科 ウロギネセンター)

キーワード:TVM、高度骨盤臓器脱、リングペッサリー

【目的】骨盤臓器脱(POP)患者のTVM手術では、子宮が高度に脱出した症例では同時に腟式子宮全摘術(VH)を行う事が多い。当科のTVM手術では手術時の子宮の下降度を見てVHを行うかどうかを判断しているが、初診時から手術までの待機期間にリングペッサリー(リング)を装着した症例の中で手術時の子宮の下降度が改善していた場合はVHを行わずに手術している。
手術前にリング留置することでTVM手術でのVH省略の可否について検討してみた。
【方法】子宮摘出術の既往歴のない高度POP症例(POPQ IV度)で2018年11月から2021年12月までの期間に当科でORIHIMEを使用したTVM手術を受けた症例のうち術後1年以上経過観察できた症例を対象とした。術前リング使用群と未使用群にわけてそれぞれのVH施行数や術後再発について検討した。
【結果】調査期間に術後1年以上追跡できたPOPQ IV度の症例は103例ありそのうちリング使用例(R群)は62例 リング未使用例(N群)は41例あった。VHを施行したのはR群N群共に13例であった。
R群のうちVH施行を回避できた症例は49例で、再発は14例で見られたがほとんどが客観的な再発で再発自覚症例は3例であった。一方N群でVHを施行した症例は13例あり再発は3例で再発自覚症例は1例であった。
【結論】高度POP症例の手術においてはVHを省略できると手術時間が短縮でき臓器損傷などの合併症や術後のメッシュ露出のリスクを減らすことができる。
リングを術前に長期留置するネオアジュバント・リングセラピーを行う事により、高度POP症例でもVHを回避して治療できる可能性が示唆された。