日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

保存的治療(全般)

保存的管理

Sat. Aug 5, 2023 1:45 PM - 2:25 PM Conference Room 1 (Japan Education Center Level 8)

座長:明樂 重夫、吉川 羊子

2:05 PM - 2:10 PM

[1B14P] 女性ヘルスケアセンター立ち上げにおける現状と課題

○藁谷 千代子1、幕田 望1、原 映2、本田 周子3、鈴木 りか4、鈴木 博志4、吉田 千歩2 (1. 寿泉堂綜合病院 看護部、2. 寿泉堂綜合病院 リハビリテーション科、3. こおりやま女性泌尿器科クリニック、4. 寿泉堂綜合病院 産婦人科 )

Keywords:女性ヘルスケアセンター、ペッサリー自己着脱

【目的】
当院では、2022年に骨盤臓器脱に悩む女性のサポートを目的として「女性ヘルスケアセンター」を立ち上げた(以後センター)センターでは多職種が情報共有することで、臓器脱症状に対する保存的療法(自己着脱による腟内ペッサリー挿入、骨盤底筋訓練)を患者が容易に取り組めるようなサポート体制作りを目指している。今回我々は、下部尿路症状を有するリング使用患者の症状変化を分析することで、現況のサポート体制についての課題を詳らかにした。本研究は所属の倫理委員会の承認を受けて実施した。
【方法】
対象は、2022年5月から2023年3月までに膣内リングの自己着脱指導を受けた下部尿路症状を有する骨盤臓器脱患者19名。指導は看護師と理学療法士が協働して行った。主要下部尿路症状質問票(CLSS)を用いて指導効果把握の指標とした。
【結果と考察】
対象患者中12名は自己着脱を継続、5名が手術療法へ移行した。自己着脱困難が2名であった。自己着脱継続群の平均年齢は64.8歳、手術療法移行群では70.0歳とやや高齢であった。自己着脱継続にはセルフケア能力の高さ、指導に対す理解力の高さなどが大きく影響すると考えられた。また、CLSS満足度項目は、指導前平均4.5点、指導後平均3.8点とわずかな改善にとどまった。脱症状の改善はあるものの、排尿症状が残存するために患者満足度が改善しなかったのではないかと推察された
【結論】
高齢者になるほど自己着脱継続が困難な傾向にある。年齢に応じた着脱指導方法の工夫が必要と考えられた。また、今後は骨盤底筋訓練指導も積極的に行い、下部尿路症状の満足度の向上につなげる必要があると考えられた。