日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

保存的治療(全般)

保存的管理

2023年8月5日(土) 13:45 〜 14:25 第1会議室 (日本教育会館 8F)

座長:明樂 重夫、吉川 羊子

14:10 〜 14:15

[1B15P] 多職種が介入する骨盤底ケア外来:包括的介入が奏功した一例

○平岡 仁美1、小原 紗季1、渡貫 佳恵2、小林 郁美2、片倉 雅文3、森山 真吾4 (1. 上尾中央総合病院 リハビリテーション技術科、2. 同院 看護部、3. 同院 産婦人科、4. 同院 泌尿器科)

キーワード:役割分担、専門性を活かした介入、継続的な生活指導

【はじめに】当院では多職種による骨盤底ケア外来を行っている。混合性尿失禁患者における包括的介入が奏功した症例について報告する。
【症例紹介】80代女性。小児期から続く混合性尿失禁。一時、学童期で改善みられるも更年期頃に再発、70歳頃から更に悪化。30分おきの尿意や頻尿、尿失禁によりパッドを1日3~5枚使用し趣味や外出に苦痛を感じていた。医師より多職種による保存的加療が必要と判断され当外来介入となる。
【介入】理学療法士は検査技師と共にエコーで骨盤底筋の動きを確認。動きはほぼ確認できなかった。骨盤底筋の位置や役割などを説明し、正しく動かせるような姿勢や負荷の調整から開始した。看護師は排尿日誌から排尿パターンおよび膀胱容量を把握し適正な飲水及び体重管理に加えて、パッドの適正使用や膀胱訓練に対する指導等と骨盤底筋トレーニング(以下PFMT)遂行に向けた精神的支援を行った。
【結果】介入2回目で効果を実感しており症状改善傾向で、前向きに取り組めていた。既疾患の体調不良があり一時的に悪化が見られたが、状態改善と同時にPFMTが再開できると症状も改善した。介入6か月後にはパッド交換が週1回程度となり、表情も明るく外出に自信を持てるようになった。
【考察】正しく動かせる体づくりを行い、可視的にフィードバックをすることで確実な運動習得ができ、また排尿日誌の使用により自身を客観視したことが行動変容に繋がったと考える。尿失禁は自尊心に直結する問題であり、改善を実感できたことは精神的にも有効に働き継続した取り組みに繋がったと考える。多職種でサポートすることでモチベーションが維持され、症状改善に繋がった。