9:15 AM - 9:20 AM
[2A6P] 巨大骨盤臓器脱症例から考える治療戦略
Keywords:LSC、TVM、NTR
【緒言】重度の骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse: POP)は術後も再発を繰り返し、治療に難渋するケースが多い。今回、長期間放置された巨大POPに対して複数の術式でもって治療し得た症例を経験した。その治療経過から重症POPへの治療戦略について考える。【症例】54歳2経産、身長152cm体重73kg (BMI 31.6)、喘息の既往。10年前から臓器下垂感を自覚されていたが放置していた。症状の悪化と排尿困難の出現により当科受診された。初診時、陰部腫瘤は成人頭大を超え、画像診断では子宮腺筋症合併の完全子宮脱の状態で高度の膀胱瘤と小腸瘤を伴っていた。ペッサリーによる臓器還納は困難であった。手術治療として腹腔鏡下腟式子宮全摘、高位腹膜縫合、仙棘靭帯固定術を施行した。(摘出子宮230g)術後3ヶ月より前腟壁が下垂、6ヶ月経過した時点で腟断端脱に至り、腹腔鏡下仙骨腟固定術(ダブルメッシュ)を行った。LSC術後3ヶ月で膀胱瘤が再発し、TVM(ORIHIME® 300×300mm 仙棘靭帯メッシュ固定)を施行した。TVM術後1年経過した現在、若干の再発所見は認めるものの自覚症状はなく、通常生活に復帰されている。【考察】繰り返す再発により、単一症例に対して3回の手術治療を行った。初回は子宮摘除によるPOPの重量軽減を図り、腟断端を挙上したが、固定が外れ再発に至った。2回目LSCにおいては下垂臓器がメッシュの幅を上回り、側方より脱出したと考えられる。3回目手術では、これまでの術式の弱点を考慮し、臓器脱に合わせた十分なメッシュサイズとアームを靭帯に固定するアレンジが有効であったと思われる。