日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

アルゴリズム 治療戦略 指針

POP手術の趨勢と展望

Sun. Aug 6, 2023 8:50 AM - 9:25 AM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:平松 祐司、成本 一隆

9:20 AM - 9:25 AM

[2A7P] 婦人科悪性腫瘍に合併する骨盤臓器脱の治療方針についての検討

○小玉 美智子1、来間 愛里1、角田 守、遠藤 誠之1、木村 正1 (1. 大阪大学産婦人科)

Keywords:骨盤臓器脱、婦人科悪性腫瘍

【背景】骨盤臓器脱(POP)及び悪性腫瘍は高齢化に伴い増加する疾患であるため併存しうるが、その管理方針は標準化されていない。
【目的】POPと婦人科悪性腫瘍の合併例について、診断契機とその治療転帰について検討し、相互の影響を考察する。
【方法】2019年4月から2022年12月に当院で管理したPOPと悪性腫瘍を併発した8症例の患者背景、臨床経過及び転帰について後方視的に検討した。
【結果】年齢は中央値77歳、Body mass indexは25.1であった。癌種は子宮頸癌2例、子宮体癌2例、外陰癌2例、腹膜癌1例、腟癌が1例で、病期はⅠAからIVB期まで様々であった。悪性腫瘍診断時期は、POP治療中が6例、2例は主訴をPOPに初診した時点であった。POP診断先行した6症例中4例はペッサリー療法を受けていたが、開始前から不正出血を自覚するも原因はPOPと自己判断をしていた症例が2例含まれていた。悪性腫瘍に対して6例が標準的根治療法を受け,1例が緩和的外科的治療、残り1例は緩和医療を選択した。POPの臨床経過については,5例が初回治療や悪性腫瘍進行によって改善、2例にペッサリー治療や手術を要し,不変が1例であった。初回治療後3例に腫瘍再発を認め、緩和医療1例を含む4例が原病死、残る4例は無再発で経過している。
【結論】POPが受診契機となり悪性疾患が診断される、またPOP加療中に発症する症例が存在した。POP症例において不正出血及び難治性外陰掻痒が存在する症例に対しては注意深い診察・必要な病理学的診断を行い、悪性腫瘍を除外しておく必要がある。