日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

病態(全般)

珍しい症例・難渋した症例

Sun. Aug 6, 2023 3:00 PM - 3:35 PM Conference Room 1 (Japan Education Center Level 8)

座長:安井 智代、武井 実根雄

3:30 PM - 3:35 PM

[2B31P] 骨盤底筋トレーニング開始後に切迫性尿失禁が著明に改善した過活動膀胱の一症例

○渡邊 日香里1、市川 美代子1、加藤 久美子1,2、荒木 英盛1,3、成島 雅博1,3 (1. 名鉄病院 ウロギネセンター、2. 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院女性泌尿器科、3. 名鉄病院 泌尿器科)

Keywords:行動療法、理学療法、生活指導

【緒言】骨盤底筋トレーニング(PFMT)は女性の尿失禁治療の第一選択として女性下部尿路症状診療ガイドライン等で推奨されているが,腹圧性尿失禁に比べると切迫性尿失禁(UUI)の報告は少ない。当院では理学療法士と看護師の協働でPFMT指導を行っており,UUIも対象である。今回UUIの女性にPFMT指導を行い著明な改善を認めた症例を経験した。【症例】70代女性。BMI 22.7。妊娠3回,帝王切開3回。半年前からUUIを自覚。かかりつけ医でビベグロンが処方されたがUUIは残存。A病院でフェソテロジンが追加されUUIは消失したが残尿300mlへ増加したためフェソテロジンのみ中止された。A病院よりPFMT指導目的で当院へ紹介された。【経過】PFMT初回指導時のOABSSは合計11点だった。骨盤底筋機能の評価は超音波画像診断装置を経会陰法で使用し,仰臥位で骨盤底筋の収縮の有無を評価した。同時に腹筋群や股関節周囲筋群の代償を視診,触診で確認した。初回指導時,骨盤底筋の収縮は可能であり代償はほぼなかった。セルフエクササイズとして毎日のPFMTに加え,骨盤底筋の収縮による尿意切迫感の抑制方法も指導した。PFMT開始1か月後,自覚的にUUIは消失しOABSSは合計5点へ減少した。骨盤底筋の収縮方法は代償を軽度伴うがおおよそ適切だった。【考察】 UUIに対するPFMTの有効性については,骨盤底筋の収縮が尿意切迫感や排尿筋の収縮を抑制することで,UUIのコントロールが可能となると考えられている。本症例は初回指導時より適切な骨盤底筋収縮が可能だったため早期にUUIをコントロールできたと考えられた。