第108回日本消化器内視鏡学会近畿支部例会

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ワークショップ

[WS2] ワークショップ2 「小腸内視鏡診療の現況と課題」

Sat. Jun 11, 2022 2:00 PM - 4:30 PM 第1会場 (7F スタジオ1)

司会:富田 寿彦(兵庫医科大学 内視鏡センター/消化器内科),山本 修司(京都大学大学院医学研究科 消化器内科学)

[W2-13] MEFV遺伝子関連腸炎における小腸内視鏡検査の検討

池ノ内 真衣子, 高嶋 裕介, 上小鶴 孝二, 横山 陽子, 渡辺 憲治 (兵庫医科大学病院 炎症性腸疾患内科)

Keywords:小腸病変、MEFV関連腸炎

【はじめに】近年、診断や治療に難渋する炎症性腸疾患症例の一部における、家族性地中海熱(FMF)の責任遺伝子であるMEFV遺伝子の変異の関与が注目されている。そのMEFV遺伝子関連腸炎症例の消化管病変の報告は散見されるが、小腸内視鏡検査に関する報告は乏しい。【目的】MEFV遺伝子関連腸炎症例における臨床背景や消化管内視鏡所見等を集計し、小腸内視鏡検査の所見と意義を検討した。【方法】2018年4月から2020年11月の間にMEFV遺伝子解析を行った当科のinflammatory bowel disease unclassified (IBDU)を含む分類不能腸炎40例のうち、MEFV遺伝子変異を認めた20例を対象に、患者背景、消化管病変の局在、小腸内視鏡検査所見、治療効果等を検討した。【結果】患者背景は男性9例、女性11例。発症時年齢は34.5(19-71)歳、診断時年齢は 48.6(17-76)歳であった。症状および合併症は周期的発熱11例、腹痛20例、下痢15例、血便12例、関節炎10例、結節性紅斑4例、壊疽性膿皮症1例、頭痛7例、痔瘻2例であった。初期診断は分類不能腸炎4例、クローン病(CD)疑い7例、潰瘍性大腸炎(UC)疑い7例、ベーチェット病(BD)疑い1例であった。MEFV遺伝子変異はExon 1が1例、Exon 2が14例、Exon 3が4例、Exon 5が1例であった。消化管病変の局在は食道6例、胃14例、十二指腸11例、空腸回腸14例、大腸16例であった。小腸検査を施行した症例は18例であり、小腸病変の所見は縦走潰瘍もしくは縦走潰瘍瘢痕が5例、小潰瘍または瘢痕・びらん・アフタ・発赤が12例、ノッチサインが5例、白色絨毛が3例であった。治療効果はコルヒチンを投与した19例中14例が有効ないし寛解で、抗TNFα抗体製剤が投与されていた13例中10例が有効ないし寛解であった。【結論】MEFV遺伝子関連腸炎の消化管病変は広範に分布する可能性があり、本疾患が疑われる場合は上部・下部消化管内視鏡検査に加え、小腸病変の精査が望ましいと考えられる。内視鏡所見でCDやUCの典型的所見と合致しない症例は、本疾患の可能性を想起し問診を詳細に行い、小腸内視鏡検査による小腸病変の検索等を行う必要がある。