第69回日本病院学会

セッション一覧

2019年8月1日(木)

63件中 (1 - 10)

  • 学会長講演

2019年8月1日(木) 11:40 〜 12:10 第1会場 (大ホールAB)

座長:中村 博彦(一般社団法人日本病院会 常任理事/社会医療法人医仁会 中村記念病院 理事長)

  • 日本病院会会長講演

2019年8月1日(木) 09:35 〜 10:05 第1会場 (大ホールAB)

座長:田中 繁道(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 理事長)

  • 日本医師会会長講演

2019年8月1日(木) 10:05 〜 10:35 第1会場 (大ホールAB)

座長:相澤 孝夫(一般社団法人 日本病院会 会長/社会医療法人財団慈泉会 理事長/相澤病院 最高経営責任者)

  • 特別講演

2019年8月1日(木) 10:40 〜 11:40 第1会場 (大ホールAB)

座長:末永 裕之(一般社団法人日本病院会 顧問/小牧市民病院 病院事業管理者)

  • 特別講演

2019年8月1日(木) 13:50 〜 14:50 第2会場 (特別会議場)

座長:上田 順子(公益社団法人 北海道看護協会 会長)

  • 特別講演

2019年8月1日(木) 14:55 〜 16:25 第2会場 (特別会議場)

座長:島本 和明(日本医療大学 総長/前札幌医科大学 理事長・学長)

  • シンポジウム

2019年8月1日(木) 16:30 〜 18:00 第3会場 (中ホールA)

座長:
岡留 健一郎(一般社団法人日本病院会 副会長/済生会福岡総合病院 名誉院長)
中井 修(一般社団法人日本病院会 常任理事/国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 病院長)

 2019年4月より「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が施行された。これにより労働基準法は改正され、時間外労働の上限は1ヶ月45時間、年360時間とされた。医師についてはその労働の特殊性を鑑み、適応が5年間猶予され、施行後の時間外労働の上限も特例を設けることで、「医師の働き方改革に関する検討会」で検討されてきた。その結果、医師については、特例として1ヶ月100時間、年960時間が上限と定められた。さらに特例の特例として、医療機関を特定した上で地域医療確保暫定特例水準が設けられ、1ヶ月100時間、年1860時間が上限となった。同時に追加的健康確保措置として連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセットが特例には努力義務、特例の特例には義務として課されることになった。また、初期研修医、後期研修医、高度な技能を研修する医師の時間外上限規制については医療機関を特定して、年1860時間まで可能とされたが、この特例の特例の上限年1860時間の妥当性については医療界内外から批判もあり議論が多いところである。 
しかし、現在、年間時間外勤務1860時間超えの医師がいる医療機関は病院の約3割、大学病院の約9割、救命救急センター機能を有する病院の約8割とされているので、これらの病院では2024年4月までに、時間外1860時間を超える医師を0にしなければ罰則が科せられることになる。5年間でさまざまな方策をとり、全力で労働時間短縮に取り組むことがすべての医療機関に求められている。本シンポジウムの目的はその課程で直面する諸問題につき、議論することである。 
厚労省医政局・労働基準局安里加奈子氏には、宿日直、応召義務、兼業の労働時間、労働と自己研鑽の判別など直接的労働時間短縮につながる規制解釈について、および地域医療確保暫定特例および集中的技能向上水準の対象医療機関の特定にかかる枠組みについて、そして勤務医不足、地域偏在の解消をはかる抜本的なプランについてなど医事法制、医療政策を遂行する立場から論じていただく。 
塩谷泰一氏には日本病院会地域医療委員会として、これまでも2回にわたるアンケート調査から地域医療の危機を訴えられてきたが、今回は医師の働き方改革に焦点をあてたアンケートからこれから地域医療に生じうる諸問題につきまとめていただき、その解決として病院、医療機関のみではなく、地域全体での取り組みの必要性にも論じていただく。 
牧野憲一氏には医師確保、労働時間管理適正化、タスクシェアリング、病院総合医、AI導入など、地域の中核病院が働き方改革と地域医療確保の両立のために先進的に取り組まれて苦心されている現況を論じていただく。 
このシンポジウムにおいて5年後に医療の水準を落とすことなく、真の勤務医の働き方改革が達成できるようにあらゆる問題を提起し解決法について論議したい。

  • シンポジウム

2019年8月1日(木) 16:30 〜 18:00 第2会場 (特別会議場)

座長:栗原 正紀(一般社団法人日本病院会 理事/一般社団法人是真会 長崎リハビリテーション病院 理事長・院長)

 我が国は急速に超高齢・少子化そして人口減少社会を迎えている。2025年には団塊の世代が75歳以上となり、今まで経験したことのないような多くの後期高齢者が誕生する。後期高齢者は前期高齢者に比較して明らかに有病率・受療率や要介護者の割合が高いことは周知の如くであり、実際に多くの急性期病院では入院患者に占める高齢者(65歳以上)の割合は70%を越えるようになっている。このため疾病構造も大きく変化している。長崎救急医療白書によると救急搬送件数は年々増加し、しかもその増加の主な要因は内因性疾患による高齢者搬送で、殊に主な救急疾患である肺炎や脳卒中では大腿骨頸部等骨折同様に高齢者が80%以上を占めている。この意味で今や、可及的・速やかに高齢者医療の体系化・整備が求められるところである。 
人は加齢に伴って生理学的機能が低下する。結果、高齢者は潜在的低栄養状態、運動機能の低下による活動範囲の狭小化、精神的には自信を喪失し、孤独・孤立化、記銘力(認知機能)低下などが起こってくる。このため高齢者は容易に日常生活機能の低下を来たし、打撲・腰痛・風邪等によって徐々に廃用が加わり、閉じこもりから寝たきり(要介護状態)になってしまうという可能性を持っている。この様な高齢者の特徴を整理し、昨今では要介護状態になる前で、何らかの介入によって生活機能の維持・向上を図ることができるであろう状態像を指す概念として、新たに〇フレイル:「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態である」、或は〇サルコペニア:「加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の筋力低下が起こること、または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、身体機能の低下が起こること」が提唱されている。地域生活における啓発や介護予防・支援(サロン)等によって健康寿命の延伸を図ることの重要性が挙げられている。 
一方、このような可能性を持つ高齢者が何らかの原因(病気や怪我)によって入院すると「環境の変化や治療のための絶対安静(活動制限)あるいは投薬(ポリオファーマシーの問題等)などの影響によって容易且つ急速に廃用となり、合併症を併発して入院が長期化し、ついには寝たきりになってしまう」ことも指摘されている。これは『高度に進歩した臓器別専門治療が生活に繋がらない』ことを意味し、「生活に繋がらない地域医療とは何ぞや!」という地域医療における重大な課題が問われている。 
このため超高齢社会における、これからの病院医療は「社会生活から隔絶された世界で安静を絶対条件として行っていた治療」から、「可能な限り早く生活に戻るという、生活を積極的に視野に入れた医療のあり方」へと、パラダイムシフトが重要である。その実現には多くの専門職によるチーム医療が前提となる。そして医療機能の分化・連携によって、臓器別専門治療が着実に地域生活に繋がるような地域完結型医療提供体制の構築が本質的課題となる。 
この意味で各専門職は自らの知識・技術の向上を図ると共に、チームの一員として互いを知り、尊重し、そしてコミュニケーションを大切に、情報を共有、共に統一された目標に向かって、努力することが求められる。 
本シンポジウムでは医師・看護師・薬剤師そして管理栄養士の方々にこれからの高齢者医療の課題などについて発表いただき、専門職としてチーム医療に如何に寄与すべきかの方向性などを議論し、高齢者に対するこれからの医療のあり方について整理できたらと考える。

  • シンポジウム

2019年8月1日(木) 16:30 〜 18:00 第4会場 (中ホールB)

座長:
万代 恭嗣(一般社団法人日本病院会 副会長/医療法人社団大坪会 北多摩病院 病院長)
安藤 文英(一般社団法人日本病院会 常任理事/医療法人西福岡病院 理事長)

 現今のめまぐるしいほどの医療政策・制度改正、とくに病院病床数を対象とした地域医療構想や医師の働き方改革の行方そして間近に迫った消費税率増とそれらに連動する診療報酬改定など急速な変化のうねりの中、中小病院の開設者管理者にとっては落ち着かない日々を過ごされているのではないだろうか。「病院ビッグバン」とも表しえるほどのこれら政策や制度に通底するものは何であるのか。そのターゲットは我々中小病院ではないのか、との疑心暗鬼も生じよう。 
 私ども中小病院委員会では、会員の50%を占める1,200余病院(全国5,800余)の医療の質と経営の向上に資することを目的に過去20年間、この病院学会でのシンポジウム開催をはじめさまざまな活動を行ってきた。地方都市で18回にわたり開催してきた情報交換会では、各地で頑張っておられる2~3の中小施設病院長などに御登壇いただき、さまざまな努力、工夫の成果を御紹介いただいてきた。それら施設の今日の成功にいたる足跡であり、毎回盛況で開催の実は上がったものと評価する。一方で、失敗例からも学べる事は多いのではないか、との思いもある。このような観点から新しく組織された中小病院委員会は、これまでの活動を振り返りつつ、以下のように新機軸を打ち出す方針を定めた。 
即ち、外部の助言者として病院の事情に精通されている立場から、客観的で忌憚の無い御意見や知見を得ることも大いに意義のあることと考え、中小病院の今後について、誤解を恐れず、実情を踏まえた率直なお考えをお聞かせいただく場の提供である。今回は、私どもの周辺で密やかに行われている病院の吸収と合併についてその実情を知る場を設けることとした。このM&Aについては事の性質上、一切が完了してからその事実が知らされるのは仕方が無いにしても、衝撃的である。その経緯についても後に語られることも無く、いつの間にか周辺の医療提供体制や、医療環境などの変化の余波を受けたり憶測を招くこととなる。地域医療構想調整会議議論への影響もあろう。とりわけ、仲介を担う業者がいかなる理念や経緯をもってその場に登場したのか、注視すべき事ではなかろうか。更には、多くの病院を傘下に置く病院団体には、実情を知り分析し、そのエッセンスを会員施設に情報提供する役割が在るものと思われる。かかる諸点を鑑み今回のシンポジウムでは、諸事情に精通されているお二人をお招きし、まずはお話を窺う場とすることとした。「地域における中小病院の役割と収益改善方策」を医療総研株式会社代表取締役社長、公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 副会長 伊藤 哲雄 様に、「病院の吸収合併(M&A)の体験から」を西岡税理士事務所・行政書士事務所長、一般社団法人医業経営研鑽会会長 西岡 秀樹 様、である。時間の許す限り、質疑応答も行い、身のあるものとしたい。 
 尚、開催結果を踏まえ今後の恒常化ないし有料研修会とする途についても模索する。

  • シンポジウム

2019年8月1日(木) 14:30 〜 16:00 第5会場 (107会議室)

座長:
山口 武兼(公益財団法人東京都保健医療公社 理事長)
牧野 憲一(一般社団法人日本病院会 常任理事/旭川赤十字病院 院長)

 身体科の医療においては、入院医療中心から地域生活中心へ、高齢者も住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるように、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」が一体的に提供されるよう、地域包括ケアシステムが大きく変貌しています。一方で、精神科医療は大きく出遅れているとの反省から、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が提言され、いくつかの施策が統一感を持てないまま実施に移されています。
 高齢者を対象とした地域包括ケアシステムでは、市区町村が主体になって日常生活圏域(中学校区)を守備範囲にシステムが構築されていますが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムでは、各都道府県の障害保健福祉圏域ごとに連携をとる方向で、とても一人ひとりに目が行き届く状況ではありません。精神障害者も高齢の認知症者も同じように、日常生活圏域における「まち」の中でケアされる必要があります。
また、経済的な問題からは、フィンランドの社会・保健医療ケア基礎資格職ラヒホタイヤ(Practical Nurse)のような多機能な職種の育成を考えてみる必要もあるでしょう。さらには、発展し続けているICT(情報通信技術)や、将来的にはAI(人工知能)の活用も視野に入ってきます。
 このシンポジウムでは、「精神障害(認知症含む)にも対応した地域包括ケアシステムの構築」に向けて、将来を見据えた夢のある議論を展開したいと思います。