第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演2群 感染予防対策

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:甲斐 美里

[口演2-5] A病院B病棟における、手指消毒回数増加への取り組み

―手指消毒の習慣化と見える化―

金子 貴幸, 金原 純司, 太田 佐知子 (北里大学病院)

【背景】私が勤務するB病棟は、長年1患者に対して病棟全体が実施した手指消毒回数(以下手指消毒回数)が院内一般病棟で下位1~2位が続いていた。新型コロナウィルス感染症の流行もあり手指消毒の行動・意識変容が求められた。【目的】202X年4月時点でB病棟の手指消毒回数は年平均8.3回であった。院内一般病棟の目標手指消毒回数15回を目指し、感染リンクスタッフとして手指消毒の行動・意識変容を図った約2年間の活動と成果を振り返る。【実践内容・方法】1)B病棟看護師、看護補助者(以下スタッフ)にWHOの手指衛生5つのタイミング(以下5つのタイミング)を口頭で確認した。2)スタッフの手指消毒薬消費量(以下消費量)を知るために、手指消毒ボトル(以下ボトル)交換時に表へ日付の記入を依頼した。3)業務中のスタッフの手指消毒実施状況を観察した。4)観察から明確となった手指消毒の抜けやすい場面と業務中の動作を選定し、月ごとに1動作を設定。設定した動作の前に手指消毒を行うよう発信した(例:病室の扉を開けたらワンプッシュ)。5)B病棟の業務内容より1日の目標消費量を換算しスタッフへ発信した。6)始業時にスタッフ全員でボトルの残量をマーキングし、終業時に目標消費量に達したかを確認した。7)B病棟に配属された新人看護師・看護補助者(以下新人スタッフ)へ、早期に手指消毒の取り組み内容の説明を行った。8)上記2)~7)の活動を継続して行った。【結果】1)2)5つのタイミングはスタッフの経験年数に偏りなく正答しており、知識の習得はできていた。知識の習得と手指消毒回数に相関性はないことが判明した。3)特にゾーニングの意識が薄いため、患者ゾーン・医療エリアをまたいだ際に手指消毒が抜けやすいことが判明した。4)発信を続けるなかで徐々に手指消毒回数が増加した。5)6)スタッフより目標消費量と自身の消費量を知ることで手指消毒に意識が向くようになったと発言が聞かれた。感染リンクスタッフから発信がなくともスタッフ自ら6)を行う様子が見られるようになった。7)新人スタッフとスタッフの消費量に大きな差はなかった。結果、手指消毒回数は年平均19.56回まで増加した。【考察】①手指消毒は知識の習得だけでなく、習慣化と消費量を知ることが必要と考え、実践内容・方法4)より習慣化を促し、6)より消費量の見える化を推進した。端的な行動から習慣化を促すこと、見える化から消費量の実態を知ること、そして、活動を継続することが行動・意識変容に有効であった。②新人スタッフへ早期介入を行う事で、手指消毒の習慣化・意識取得に繋がり、配属後早い段階で必要とされる手指消毒を行うことができていた。①、②より手指消毒回数の増加に繋がったと考える。【実践への示唆】習慣化と見える化を行い、行動・意識変容のきっかけをつくることは他の事例でも応用できるのではないかと感じた。