第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演3群 看護職・多職種との協働①

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:坂本 貴子

[口演3-2] 薬薬連携による病棟看護師の服薬支援の変化

鈴木 英里, 諸田 美帆, 崎山 裕子, 山田 雅子, 乾 早苗 (金沢大学附属病院)

【緒言】 A病棟では服薬アドヒアランス不良な患者であっても、在宅医療サービス未介入で再診がない場合は支援が途切れていた。しかし、2022年度から病棟薬剤師と協働し薬薬連携を取り入れた服薬支援を行ったことで、病棟看護師の服薬支援における視野の広がりを感じた。薬薬連携を実践したことで病棟看護師の服薬支援における意識と看護実践の変化を明らかにすることは、今後さらなる退院後の継続支援につながる糸口にもなり、服薬アドヒアランス不良によって引き起こされる病状悪化や、再入院リスクの低減に寄与すると考えた。【目的】 病棟看護師が薬薬連携を取り入れた服薬支援をしたことで生じた意識と看護実践の変化を明らかにする。【方法】 本研究は質的記述的研究である。対象は薬薬連携を行った病棟看護師10名。研究参加について文書と口頭で説明を行い書面で同意を得た。B病院の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号114292-1)。データ収集期間は202X年7月~8月。研究分担者1人がプライバシーの保たれる個室でインタビューガイドをもとに20分程度の半構成的面接を行い、許可を得てICレコーダーに録音した。逐語録から研究目的に合致した内容を抽出して意味内容を損なわないようにコード化し、コード間の類似性に基づいてカテゴリー化した。【結果】 インタビューの結果、21のサブカテゴリーが生成された。それらは、服薬管理に影響する要因について情報収集の幅が広がった、薬剤師と協働してアセスメントすることで患者理解が深まった、服薬管理の問題点に注目し課題を抽出した、患者の退院後の生活に合わせた薬剤調整や服薬指導を行った、試行・評価しながら退院後の患者の生活に適した服薬管理方法を見出した、多職種・調剤薬局と連携することに積極的になった、退院後の患者の服薬管理状況に意識が広がった、という7つのカテゴリーに集約された。【考察】 病棟看護師は患者の服薬状況によって介入方法が変わることに気付いたことで問題点を明確化する意識が芽生え、薬剤師と協働して患者理解を深めることへと変化していた。そして、多職種と協働しながら患者の退院後の生活に調和する踏み込んだ看護実践へと変化し、関係職種で連携することに積極的になり、退院後の患者の服薬管理状況にも意識が広がったと考える。【結論】 病棟看護師は患者の服薬管理の問題点を明確化するという意識の変化から看護実践が変化していた。薬剤師と協働することで患者理解をさらに深め、患者の退院後の生活に調和する服薬支援へと変化していた。退院後も継続支援ができることを肯定的に捉えチームの連帯感が芽生え、多職種や調剤薬局と連携することに積極的になっていた。今後は服薬支援を振り返り、評価する必要性が示唆された。