第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演3群 看護職・多職種との協働①

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:坂本 貴子

[口演3-3] 救命センターでのオーラルケアチーム活動

電子カルテからの介入患者選定方法の確立

前田 史歩, 井浦 弥生, 髙山 洋平, 開田 亜紀子, 水上 貴弘 (済生会熊本病院)

【背景】A病院の救命センターは、24時間体制で重症かつ複数の診療科に渡る患者を受け入れ、高度医療を提供する役割がある。急性期治療を要する、脳卒中患者が5-6割を占めており、誤嚥性肺炎や人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-associatedpneumonia:以下VAP)を発症する患者は年々上昇していた。そのため、早期からのオーラルケアの介入が必要と考え、誤嚥性肺炎、VAP発症率の低下を目標に、202X年12月より歯科衛生士を含めたオーラルケアチーム(以下OCT)を結成した。口腔内アセスメントとしてOral Health Assessment Tool (以下O-HAT)を使用し、口腔内評価を行っている。救命センターでは3日に1回のO-HAT評価を実施しており、記載率は79%であった。次回評価までに口腔内環境が悪化する患者がおり、介入が遅れることがあった。また、OCT介入患者の基準がなく、歯科衛生士へ相談するかは担当看護師の判断に委ねられていた。そこで、OCT活動を開始するにあたり、介入患者抽出の統一したルールを作成し、活動を効率よく実施していく必要があった。【目的】O-HATスコアを可視化し、効率的なOCTの活動へ繋げるために、電子カルテからの自動抽出システム(以下アプリ)を活用したシステム構築を行った。【実践内容・方法】口腔内の評価を連日評価へ変更し、その記録を電子カルテのO-HATテンプレートに記録した。その記録した合計スコアをマイクロソフトアクセス®を用いてデータウェアハウスよりデータを抽出するアプリを作成した。アプリ内の項目は、スコアの高い順・ベッド番号順・評価日付・スコアの推移の4項目に分け、スコアが確認できるように設定した。OCTの活動内容はスコアや推移を把握し、歯科衛生士との共有、患者ラウンドを行った。倫理的配慮としてA病院の看護部倫理審査委員会より承認を得た。研究データは個人が特定されないように管理を行った。【結果】連日O-HAT評価へ変更したことで記載率は96%と上昇した。アプリは誰でも使用することが可能なため、歯科衛生士との情報共有が可能となった。歯科衛生士と介入する患者数も増え、スコアを可視化し、統一したツールを使用することで、OCTの効率的な活動につながった。合計スコアが高値な患者やOCTへの介入依頼があった患者に、必要なタイミングで介入することができた。【考察】集中治療室では、病態の影響や、オーラルフレイル、人工呼吸器装着等に伴い、入院経過中にスコアの悪化を引き起こす可能性が高く、日々の口腔内の観察・評価が重要である。スコアだけを抽出するのではなく、スコアの推移をすぐに可視化できるシステムは、口腔内環境の悪化を察知でき、早期にOCTの介入へ繋げることができる。【実践への示唆】OCT活動を開始して間もないため、OCTの活動がVAP発症率や誤嚥性肺炎に影響しているのか、現時点では明らかになっていない。今後は早期に専門的チームが介入することでの効果を明らかにしていく。