[口演4-1] HCUにおける早期離床リハビリの取り組み
【背景】A病棟HCUでは、患者の重篤な病状が安定した頃の医師の指示を目途に離床リハビリを介入する傾向があり、安静の長期化や離床の遅れを懸念していた。集中治療領域での早期離床リハビリは、循環動態の変動や偶発的なドレーン抜去などのリスクを伴うため、離床プロトコルの活用とPT・OTとの協働を図ることで、安全に早期離床リハビリの介入が図れる可能性があると考えた。【目的】1.離床プロトコルを活用しPT ・OTとの協働でリハビリを始め、意識調査でその効果を知る。2.患者130名を対象に、入室後48時間以内のリハビリ介入状況と病日別離床levelの進捗を調査する。【実施内容・方法】離床プロトコルを活用し202X年10月から看護師とPT・OTの協働で離床リハビリを始めた。6ヶ月後に、双方の意識調査を実施した(単純集計)その対象者には目的と方法の説明や回答の自由、個人情報の守秘の保証を文章化し書面で同意の有無を記述頂いた。そして、患者130名を対象に病日別離床levelとリハビリの中止・停滞・退行の理由を調査した(クロス集計)【結果】看護師13名とPT・OT16名の意識調査では、「双方の情報交換は増えたか。」は看護師77%とPT・OT69%が「連携が良くなったか。」に看護師61%とPT・OT62%が「そう思う」と回答し肯定的であった。130名の対象患者の病日別離床levelの調査では、病日2日目(48時間以内)までの介入率は72.4%で、病日3日目以降の32.2%がlevel3(端座位)まで達していた。リハビリの中止・停滞・退行事例は延べ72件で、「循環、呼吸状態の変動など」41件と最も多く、次いで「その他の症状・医療処置による体位制限など」21件で実践中の有害事象は無かった。【考察】急性期の初めに、早期離床リハビリを提供するかは、患者が最良の機能予後に到達するまでの時間短縮に大きく影響するため重責である。このため、リハビリの開始時期は、患者の新規発症や急性期憎悪から48時間以内に開始することが望まれる。離床プロトコルは、リハビリの開始や中止の指標となり安全性を高めた。意識調査からは、看護師とPT・OTが情報共有とリハビリ内容を合わせコミュニケーションが増したことで肯定的な関与と協力体制を整えることができたと考える。そして、これを契機に離床リハビリに対する意識も高まり、患者130名に対し48時間以内の離床リハビリ介入が72.4%と高率の結果を得ることができたと推察する。【実践への示唆】離床プロトコルの活用は、リハビリの安全性を高めるための判断指標となった。リハビリの中止・停滞・退行の理由では、循環や呼吸状態の変動が最も多く、より安全で慎重に行うことを示唆していた。そして、看護師とPT・OTの情報共有やリハビリ内容を合わせ協働することで、早期離床への意識を向上しリハビリ介入や離床促進することができる。今後は、取り組みの継続と実施時間の調整やMEなどの多職種協働などの課題にも取り組む必要がある。