第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演4群 早期離床に向けた取り組み

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:阿久津 美代

[口演4-3] 看護師の離床援助の統一化に向けた取り組み

高口 敦義1, 雪野 美和1, 永江 久訓1, 末吉 麗子1, 荒木 莉沙1, 田中 灯里1, 渡邉 晴美2 (1.大牟田市立病院, 2.帝京大学福岡キャンパス)

【緒言】A病院B病棟では、新型コロナウィルス感染症感染拡大に伴い、離床の場が制限されたことで看護師の離床に向けた一連の援助(以下、離床援助)に個人差が見受けられていた。感染症法上5類感染症へ移行後、看護師の離床援助に対する考えや現状を把握し、課題を抽出することで患者のADLの向上に繋がると考え介入を行った。【目的】アンケートによる実態調査で看護師の離床援助の現状から課題を抽出し、課題解決に取り組む【方法】202X年4月~202Y年2月の期間、B病棟看護師21名を対象に、先行研究を参考に独自で作成した「離床援助の実態について」質問紙によるアンケートを実施。単純集計と項目ごとの関連を、JMPを用いて多変量解析を行い分析した。本調査はA病院の研究倫理審査委員会の了承を得た(承認番号2315)。【結果】回収率は90%であった。「離床をどこまで進めてよいかの判断」は、医師の指示89%、リハビリスタッフ84%、患者の状態63%、診療プロトコール16%であった。「患者の離床状況の把握」は68%ができていた。「離床がどこまで進んでいるのかどのように把握しているか」は、リハビリ記録58%、患者に聞く58%、経過表52%、患者の病名、術名、安静度、移動方法、介助度、食事・排泄方法を記載しベッドサイドに掲示した日常生活動作表(以下、ADL表)21%であった。「離床を積極的に行えているか」は90%ができていた。「ADL表」は80%が使用していたが、その内90%が更新していなかった。「離床援助に関する教育経験がある」のは、44%であった。多変量解析の結果ではどの項目も有意水準0.05より大きく、有意でないことがわかった。【考察】コロナ禍を経ても、離床援助に対する意識は高かったが、離床援助の進行状況を患者の状態から自分で判断している看護師が半数以上を占めた。また、診療プロトコールが離床援助の進行状況の情報源となっておらず、統一された離床援助が出来ていない可能性が示唆された。患者の状態を把握できる統一化されたツールとしてADL表を使用していたが、更新はできておらず、変化する患者の状態を把握できるものではなかった。そこで既存のADL表の項目を見直し、診療プロトコールを組み合わせ、離床援助の進行状況の把握を簡易化することで統一した離床援助を目指した。また、半数以上が離床援助に関する教育経験がないため、多職種でのカンファレンスを増やし離床の必要性の理解を深めた。ADL表の使用が定着するまでは注意喚起を行い、定着後の課題に対してはADL表の検討と見直しを継続していく必要がある。さらに離床援助に関する勉強会を開催し、教育の機会を設けていくことも重要である。【結論】1.ADL表の更新ができていないため離床援助の進行状況の把握にばらつきが見られ、診療プロトコールが情報源となっていなかった。2.半数以上が離床援助に関する教育経験がなかった。