第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演4群 早期離床に向けた取り組み

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:阿久津 美代

[口演4-5] 離床プロトコル活用による看護師の認識変化

森谷 優月, 石原 悠伎, 畑野 羽咲 (東名厚木病院)

【緒言】A病院は病床数282床で急性期・緩和・地域包括病棟を有している。急性期病棟は208床で8床がハイケアユニット(以下HCU)として稼働している。A病院があるB市は人口約23万人で救急車出動が年間13000件であった。救急車応需率は全国平均85%に対しA病院は97%でHCUでは脳神経外科を中心とした重症度が高い患者を受け入れている。脳神経外科や人工呼吸器装着患者は臥床時間が長くなるとその後のリハビリテーションに大きく影響する。先行研究は、「ICU入室中の患者に対して離床プロトコルを導入することで、従来よりも臥床時間が短縮した」と言われている。A病院HCUで離床プロトコル活用を活性化する事で、看護師の認識が変化し質の向上に繋がるのかを検討した。【目的】離床プロトコルを活用し、看護師の認識の変化を明確にする。【方法】1.研究デザイン:量的研究2.研究対象HCUに所属する看護師3.研究期間202×年10月~11月、202Y年7月~8月4.データ収集方法および分析方法1)離床プロトコル活用前後での看護師へのアンケートから認識の変化を調査する2)分析方法はデータを単純化し集計した。5.倫理的配慮A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号20220135)【結果】離床に関する意識調査・実施状況について看護師16人を対象にアンケートを行った。結果は、離床プロトコルを知っている81%、知らないが19.1%。更に記録に結び付けている人は38%、結び付けていない人が62%であった。94%の看護師は離床プロトコルについて学びたいと回答があった。日本離床学会研修を受講し、HCU看護師全員に勉強会を実施した。勉強会では、離床を行うと自宅退院が約20%上昇すること、PICS(集中治療後症候群)をきたす患者が約70%以上減少していること、離床をしていない人の90%以上に無気肺を形成していることなどを伝えた。その後アンケ―トでは、実際に看護計画を立案し看護実践できていたのは94%であった。さらに16人全員が理解し学びを深めたいと回答した。【考察】看護師アンケートの結果から、離床できた患者に関しては、離床状況を看護計画に反映しながら継続看護が行われるようになっており、看護師の離床意識は向上していると考える。一方で離床プロトコル導入前後を比較すると、HCUの稼働率は7%減少し、離床率は導入前94%、導入後64%と低下した。研究期間で対象患者数が減少した事から、離床率に有意差が生まれなかったことが、本研究の限界である。【結論】HCU看護師の離床に対する意識は向上した。多職種で離床プロトコルを活用し早期離床を目指すとともに、離床率の向上にも繋げていけるよう、積極的な介入を行っていきたい。