第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演7群 キャリア支援

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:南里 玲子

[口演7-5] 看護大学生4年生の「寄り添う看護」についての変化の様相

-インタビュー分析による考察-

石井 俊行 (兵庫大学看護学部)

【緒言】「寄り添う看護」ということばは広く使用されており、広辞苑第7版では、「傍にいること」と記載されているが、(思いに寄り添う)(心に寄り添う)など多方面に用いられており、明確な定義は無い。そこで、すべての臨地実習を終えた看護学科4年生は「寄り添う看護」についての概念がどのように変化したのか明らかにしたいと考えた看護大学生が臨地実習、講義等を振り返り考えをまとめ深めることは、職業的アイデンティティの発展に寄与することが期待できる。また、看護学の講義および臨地実習履修前の学生に対する教育内容や教育方法など、看護観を発展させるための教育的関わりの示唆が得られると考えられる。【目的】看護大学生4年生の「寄り添う看護」について、変化の様相をインタビューより分析、考察し明らかにする。【方法】1.研究対象者:A大学看護学科4年生6名。2.調査期間:202X年X月。3.データ収集:学生6名にグループインタビューを実施、4年間の講義、臨地実習を経て、「寄り添う看護」についてどのように考えが変化したのかを語ってもらった。グループインタビュー内容をICレコーダーに録音した後、会話分析の手法を用いてカテゴリー化し分析した。【倫理的配慮】A大学倫理委員会の承認を得た後に実施した。(23011)対象学生には研究の主旨を文書と口頭で説明し、研究への協力は自由意志であること、協力を断った場合でも不利益は被らないことなどを説明同意書に署名をもらった。【結果】インタビューより、《対象者の身体面・心理面を理解する》《円滑なコミュニケーション》《対象者の傍に居ること》の3カテゴリーに分類された。【考察】学生は、COVID-19の影響により2年生までの臨地実習は学内実習となっていた。学生は受け持ち対象者の手術や疾患による《対象者の身体面・心理面を理解する》として、辛さや苦痛など表出されにくい対象者の想いを汲み取ることで理解につながっていることの重要性を挙げている。学生は、対象者が言葉として言い出しにくい苦痛や不安などを察するという、相手の想いを自分のように理解しようとすることと考えられた。対象者の想いに耳を傾け、その想いを受け止め共感するという行動が大切で《円滑なコミュニケーション》が挙げられた。円滑なコミュニケーションは対象者との信頼関係の構築につながるとされるが、学生と対象者との間に信頼関係があることで「寄り添う看護」の提供につながっているとも考えられる。一方で《対象者の傍に居ること》の重要性を認識しつつも、COVID-19感染禍におけるフェイスシールド、マスク着用においても安心できる声掛け、タッチングなど感染状況における変化を捉えた学びとしていた。【結論】学生は、臨地実習を通して対象者への実践より「寄り添う看護」を《対象者の身体面・心理面を理解する》、《円滑なコミュニケーション》、《対象者の傍に居ること》を「寄り添う看護」と考えていた。