[ポスター1-3] ピクトグラムを活用した情報共有について
地域包括病棟職員にピクトグラムを使用して
【背景】地域包括ケア病棟は症状が安定し在宅復帰や介護施設への退院に向け患者が安心して退院後の生活を送ることができるように支援する病棟である。退院調整には多職種が関わるため患者情報を速やかに共有することが重要となる。そこで、私たちはベッドサイドで情報共有できる手段としてピクトグラム(以後PGとする)の導入を試みた。先行文献から檀谷は「医療看護支援ピクトグラムは注意事項の情報共有化に効果があり、療養生活支援を円滑にする効果が期待できる」と述べている。【目的】病棟スタッフにPGを活用し、多職種間で同じ情報の共有が図れていたのか、その有効性を明らかにしたので報告する。【実施内容・方法】202☓年☓月~8か月間に当病棟に入院・転入した転倒・転落の危険性が高い患者を対象にPGを使用し、その後病棟スタッフに質問調査票を実施し単純集計を行った。PGは移動・排泄・センサー類・職員共有の項目で15種類作成し、ホワイトボードに貼付しベッドサイドに掲示した。病棟スタッフへは目的や方法を口頭で説明した後、質問用紙の記入は任意とし個人が特定されないように無記名とした。本研究を行うにあたり、A病院の倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】質問調査を行った病棟スタッフは24名、対象期間中の入院・転入患者は29名であった。病棟スタッフの過半数はPGを使用したことがなかったが、情報共有ができたという意見が多く、PG使用後の利点や欠点も聴取することができた。【考察】情報共有とは『最新の情報を「誰もが」「いつでも」「どこでも」「同じもの」を利用できる状態であることが望ましい。』とされており、キーワードは最新の情報をメンバー全員が共有することが重要となる。今回、PGを導入し、ベッドサイドで多職種間の情報共有を試みた。転倒・転落の危険度の高い入院・転入患者は様々なリスクが高いと思われPGの掲示を行ったが、情報共有の視点からは入院・転入患者全員に使用し患者の情報を共有できる環境にするべきであったと考える。また、PGは多職種間での情報共有のツールとして有効であるが、日常生活動作(以後ADL)の変更時は最新の情報でなければ、情報共有に効果のあるPGが、危険を招く場合もある。そのため、運用方法を周知徹底し表示の更新について改善する必要があった。【実践への示唆】PGを使用した経験が少ないスタッフが過半数であったが、PGはベッドサイドで患者情報を入手するツールとして役立ち、患者のADLに合わせた援助を提供することができていた。情報共有の視点からは転倒・転落の危険性が高い患者のみ使用するのではなく、患者全員を対象とし掲示していく必要があった。また、PGを常に最新の情報へ変更する手順は今後の課題となった。