[ポスター10-2] 看護補助者との協働に必要な情報と共有手段の見直し
【緒語】A病院は病床数180床の地域支援病院である。平均在院日数は15.1日で患者の平均年齢は78.5歳であり、看護ケアの多さから全病棟に看護補助者を夜間配置している。患者への安心安全な看護提供の為、看護補助者との協働が推進されており、課題は、「看護補助者へのタイムリーな情報提供が不足している」事である。(厚労省2019)そこで、202X年、D病棟における看護補助者への申し送りと情報の見える化に取り組んだ。今回、残された課題と対応策を明確にする事を目的に本研究に取り組んだ。【目的】看護補助業務に必要な情報と、効果的な共有手段を明らかにする【方法】看護補助業務に必要な情報は、A病院患者データベースから〈患者の状態〉を抽出し、病棟管理日誌から〈病棟の状況〉を抽出した。また、それぞれ抽出された情報の情報共有手段を確認した。さらに患者のベッドサイドで視覚的に確認が必要な項目を抽出した。倫理的配慮は、A病院倫理委員会にて承認を得た。患者の個人情報は、個人が特定されない様に情報を取り扱う事をとした。【結果】看護補助業務に必要な情報は、〈患者の状態〉の項目では、ADL、認知知覚、食事、排泄、睡眠、その他の6項目、〈病棟の状況〉の項目は、入退床予定、手術予定、感染対策が必要な患者の3項目に分類された。情報共有手段では、視覚的に得られる情報は、患者のベッドサイドで把握するものとステーションで確認するものの2つに分類された。随時変化する患者情報は、口頭で申し送られていたが、必要な情報であるにも関わらず共有手段の詳細が不確定であった。共有手段が明確でない項目は、障害の程度や認知機能、転倒リスク等17項目であった。【考察】看護補助業務に必要な情報は、カルテと病棟管理日誌から抽出でき、その情報共有は、視覚的に得られるものと、口頭で交わされるものがあることが分かった。しかし情報共有手段が明確でなく、職員の価値観や判断力等で内容が左右される不確実な情報があることも分かった。これでは患者に行われるケアの安全性が担保されず、看護補助者も、不安や戸惑いを持ちやすい事が推察される。共有手段が明確でない情報は、現状の2つの情報共有の手段(視覚的か口頭伝達)により安全なケアに繋がる情報獲得ができるかと考えた時、口頭伝達では、記憶した内容がケアの際に認識されていなければ安全なケアとはなりえない。藤江は「感覚器官を通じて入ってきた情報を正確に保存する大容量のメモリが、感覚記憶である。ただし、情報が感覚記憶に存在する時間は非常に短く、視覚情報は1秒、聴覚情報は2秒とされている」と述べており、得た情報が必要な時に保持されているとは言い難い。よって情報共有手段の改善が必要となった。【結論】患者の状態に関する情報は常に変化することから、正確な情報を患者のベッドサイドで得られる手段の検討が必要である。