[ポスター10-4] 看護補助者とのより良い協働(タスク・シフト)を目指して
ーA病院における看護補助者への意向調査ー
【緒言】 日本社会の少子高齢化に伴い、看護師・看護補助者の人材確保が困難になっている現状がある。地域密着型病院であるA病院においても、近年、看護職員減少の影響を受けており、看護師と看護補助者の割合が「6:1」となっている。日本看護協会は、2019年に「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」を公表している。看護の専門性を活かすために看護補助者との協働は、時代のニーズを反映した看護のあり方となってきている。【目的】 A病院においては、看護補助者についての人数管理や報酬については管理されているが、それ以外の看護補助者に関する実態や意向などについては把握されていない状態であった。そこで今回、看護補助者の働き方に関する現状を「意向調査」し分析することで、看護補助者の現状と課題を明らかにし、より良い協働に向けた教育やキャリア開発ラダーの定着及びスキルアップに繋がると考えた。【方法】 A病院の看護研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 病看倫第04号)。A病院に従事する看護補助者を対象にアンケートを実施。「良く思う・思う・どちらにも当てはまらない・思わない・よく思わない」の5つの項目から回答を得る選択式とした。対象者には個人が特定されないように匿名化することと情報の管理について、また、学術集会で症例報告として発表することを書面で説明し、アンケートの提出をもって同意を得たとした。【結果】 有効回答件数は44件(正規職員、非正規職員含む100%)。回答結果から「現在の給与に満足していない」59%。「職場環境に不満を感じている」41%。「現在の仕事にやりがいを感じる」61%。「この病院で働くことに満足している」50%。「患者への言動に意識している」70%。「定年まで続けたい」41%。「看護補助者としてのキャリアに価値を置いている」9%。など36項目の結果を得ることができた。【考察・結論】 A病院における看護補助者の意向調査結果から、業務内容や患者対応への意識は高く仕事へのやりがいを感じているスタッフが過半数に至るが、給与面、環境面、キャリ開発などにおいては不安や不満の回答も多く改善すべき点が多岐にわたる結果となった。 看護職員減少による問題を打開するため、看護補助者を有効に活用し、看護師との協働により、患者ケアの質の維持・向上を図る為には、看護補助者へのタスク・シフトが必要である。しかし、看護師が関わるタスク・シフトにおいては、対象や状況の個別性に応じて、対象が望む状態を目指し、療養上の世話と診療の補助を行うことを看護の専門性とし、それに有効なタスクをシフトしていくことが望まれる。意向調査の結果より看護補助者のモチベーションや環境面の改善を行い、タスク・シフトが意欲的に行えるように進めて行く必要があると考えられた。