第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター10群 看護補助者との協働

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:佐田 明子

[ポスター10-5] 看護補助者ラダー導入がもたらす変化

~志向的モチベーションとの関連~

今西 共里, 栗林 みどり, 原田 敏恵 (北里大学メディカルセンター)

【背景】看護のタスク・シフト/シェアには看護補助者との協働が不可欠である。A病院では、2021年に看護補助者会を立ち上げ、補助者主体で業務を見直すと共に、知識や技術の自己到達度を知り自発的に学び・実践するための動機づけとして2022年に看護補助者ラダーを導入。導入後、16%がレベルⅠ、73%がレベルⅡを取得。五藤は看護補助者ラダーの導入により医療チームの一員としての意識がより強くなったと述べているが、志向的モチベーション変化に関する文献は殆どない。そこで、看護補助者ラダー導入が志向的モチベーションに及ぼした変化について検証した。【目的】看護補助者ラダー導入が志向的モチベーションに及ぼした変化を明らかにする。【実践内容・方法】A病院勤務2年以上の看護補助者39名(回収30名)にアンケート調査を実施。池田らの「多側面モチベーション尺度」を参考にアンケート作成。看護補助者ラダー導入半年前と導入1年半後での気持ちや行動変化26項目を5段階選択。志向的モチベーションを、協力・学習・達成の3カテゴリーに分類。各項目の変化の割合を算出。A病院倫理審査委員会の承認後(承認番号2023017)、対象に匿名性、負担、情報管理、発表予定、参加自由を書面説明し同意を得た。【結果】経験年数10年以上18名(60%)、50歳代以上19名(63%)。看護補助者ラダーの意義は、責任感・実践力・向上心と半数以上が回答。導入後に資格取得や研修会参加、業務改善の提案など12名が新たな挑戦をしている。導入による気持ちや行動に変化ありは、協力志向的モチベーション45%、学習志向的モチベーション46%、達成志向的モチベーション51%。変化なしは全カテゴリー10%以下。特に変化した項目は協力志向的モチベーション「同僚との協力姿勢」「協力による結果の向上」、達成志向的モチベーション「効率的な仕事への意識」「業務の優先順位への意識」「仕事への取り組み姿勢」であった。【考察】看護補助者ラダー導入により約半数の気持ちや行動が変化したことが分かった。肯定的な評価をする看護師から看護補助者へのサポートは、協力志向的モチベーションと達成志向的モチベーションにプラスの影響を与えていた、と鈴木らが述べているように、看護補助者ラダー導入が、補助者個々の知識・技術の肯定評価に結び付き、同様の結果が得られたと考える。また、坂本は病院で働く看護補助者について、仕事を通した自己成長を実感できることがやりがいにつながっていると述べており、看護補助者ラダーが自己成長を実感できる可視化ツールとして志向的モチベーションにプラスの変化を与えたと考える。【実践への示唆】看護補助者ラダー導入は看護補助者に対する肯定的評価や自己成長の可視化ツールとして志向的モチベーションにプラス変化を与えることが示唆された。今後は、レベルに合わせた教育と成果承認による支援が必要である。