第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

ポスター

ポスター10群 看護補助者との協働

2024年9月27日(金) 14:15 〜 15:15 ポスター会場 (展示ホール)

座長:佐田 明子

[ポスター10-6] 看護補助者の指示の指標にFIMを取り入れたことによる意識の変化

今村 昌平, 出口 貴喜, 佐藤 真理, 綾 綾, 谷山 法子 (潤和会記念病院)

【緒言】現在A病棟では、患者の「できるADL」を「しているADL」へ定着させることを目的に、看護職へFIM(機能的自立度評価法)の勉強会を実施し、FIM向上を目的とした具体的な介助方法を患者毎に表示している安全確認シートに記載し介助の実践に取り組んでいる。看護補助者に対する指示の指標にFIMを取り入れた効果を知りたいと思い、先行研究を検索したが類似する内容の先行研究は見られなかったため、今回の研究に取り組んだ。【目的】 看護補助者が行う日常生活上の直接指示の指標にFIMを取り入れたことによる、看護補助者の反応や思いを明らかにする。【方法】研究期間は202X年6月~10月で、研究対象はA病院のB病棟に勤務する看護補助者7名とした。データ収集方法はFIM勉強会を実施し、安全確認シートを活用した介助方法を指示し、インタビューガイドを用いた半構造的面接を行った。分析方法はカテゴリー化された内容から、それぞれのカテゴリーごとに分析を行った。倫理的配慮は研究の対象候補者に研究の目的、方法、自由な意志での参加であること、不参加による不利益はないこと、研究目的以外でデータを使用しないこと、研究で得られた結果を発表する場合は、個人情報の保護に配慮し個人が特定されないことを説明し、同意書に署名を得て研究対象者とした。また、院内の倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:JK24-045)。【結果】対象者の平均経験年数は5.3年であり、経験年数による大きな変化は見られなかった。また、看護補助者がどのようにして患者の情報を得ているのか、FIMの理解の程度が明らかとなった。インタビューの内容から、〈患者の状態の理解度の向上〉〈情報共有を受ける事でチームの一員になれたと認識できた〉など15のサブカテゴリーを抽出した。さらに《患者の状態を知る》《FIMを学んだ事による心境の変化》《看護補助者のやりがい》《今後の課題》のカテゴリーに分類した。【考察】《患者の状態を知る》のカテゴリーでは、正しい情報を得ることで患者の状態に合わせた援助が可能となり、正確な情報がフィードバックされる。このことから指示出しの重要性が浮かび上がる。《FIMを学んだ事による心境の変化》のカテゴリーでは、援助の過度な手助けを避ける意識が高まり、やりがいを感じている。《看護補助者のやりがい》のカテゴリーでは、患者の変化を感じとり、看護補助者からの情報をチーム内で活用することで役割、やりがいを改めて感じていると考えた。《今後の課題》のカテゴリーでは、情報共有やリハビリスタッフとの連携、適切な指示と情報発信の重要性が示唆された。【結論】FIMを看護補助者が行う日常生活上の直接指示の指標に取り入れたことにより、看護補助者はより具体的な患者に合った介助方法を把握し援助に繋げていた。また、情報を共有することでチームの一員であることを自覚し、ADL向上に向けた意識の変化が見られた。