[ポスター23-1] 周術期における継続看護の充実を図る
手術室から病棟へ情報提供の現状分析と課題
【背景】周術期看護の中で手術室看護師は、術中を中心に安全な看護を提供するためにアセスメントは必須である。更に、麻酔や外科的侵襲は術後の回復に大きな影響を与える為、病棟と術中の看護情報の共有が重要となる。【目的】術中の看護記録が術後看護に役立てられているか現状を分析し、周術期の継続看護に必要な情報の抽出と課題を明確にする。【実践内容・方法】手術室看護師20名、周術期(手術前後)を受け持つ病棟看護師140名に質問紙調査による実態調査、比較研究を行った。A病院倫理委員会の承認を得た(承認番号2022-38)。対象者に対して質問紙調査の提出により同意したとみなした。【結果】A病院の術後手術室から病棟への申し送り方法は、口頭と記録の併用を行っており、質問紙調査では現状のままで良いという意見が多数を占めた。問「手術室から病棟への情報提供は何が必要か」に対し、手術室看護師は「ライン・ドレーン」「皮膚トラブルの有無」であった。病棟看護師は「術式・麻酔変更の有無」「ライン・ドレーン」であった。問「手術室から病棟へ情報提供内容の中で何を重視しているか」では、手術室看護師は「術中の循環動態の変動」「薬剤投与時間」「皮膚トラブル」であった。病棟看護師は「術中の循環動態の変動」「創痛」「薬剤投与時間」であった。問「周術期の継続看護を意識しているか」は、手術室看護師100%、病棟看護師88.3%が「はい」と回答している。問「周術期の継続看護ができているか」では、手術室看護師26.3%。病棟看護師81.4%が「はい」と回答していた。χ²検定の結果、フィッシャーの直接確率P値3.02E-06であり、有意に手術室看護師が「いいえ」と言っているのが高いことが分かった。【考察】質問紙調査で、問「手術室から病棟へ情報提供内容の中で何を重視しているか」に対し、手術室看護師、病棟看護師共に「術中の循環動態の変動」を選択したのは、術直後の看護は患者の全身状態を観察・評価し、異常を早期発見して重篤化を防ぐことが重要である為と考える。そのために、今後起こりえることを術中経過から想定して看護計画を立てる必要がある。問「周術期の継続看護を意識しているか」に対し、手術室看護師と病棟看護師ともに「はい」という意見が多数であった。しかし「周術期の継続看護が出来ているか」に対して、手術室看護師が否定の意見が多い中、病棟看護師は肯定の意見が多数を占めた。このような手術室側と病棟側で周術期に対する認識の違いが、有意差に出たのではないかと考える。【実践への示唆】手術室と病棟間での情報提供方法は口頭、記録を併用する現在の方法で問題はないが、手術室看護師の申し送る内容と病棟看護師側の必要としている情報に相違があった。周術期の継続看護の捉え方は、手術室看護師と病棟看護師での認識の違いが明らかになった。だからこそ、継続看護に対しての在り方の共有を図っていく必要がある。