[ポスター3-3] ソフトカラーによる後療法及びMDRPU予防の効果
【背景】 頸椎後方除圧術後は頸椎安静と創痛緩和の後療法として、頸椎カラーを着用してる。頸椎カラーには、ポリウレタンシートでカバーしたポリエチレン発泡体でできているハードカラーと3層発泡体構造で綿製のカバーしたソフトカラーがある。A病院では術後10日目までハードカラーを着用しており、MDRPU(医療関連機器圧迫創傷)予防目的で被覆材を使用しているがMDRPUが発生していた。ハードカラーの使用は慣習によるものであり、可動域に問題なく後療法の目的が達成されれば、ソフトカラーの選択も可能と考えた。【目的】ソフトカラーによる後療法とMDRPU予防効果の検証【実践内容・方法】対象: A病院の整形外科で頸椎後方除圧術を受ける患者 (ハードカラー・ソフトカラー各5名)調査方法: 1)対象者のカラーはランダムに選択2)ハードカラー着用者のみ、MDRPU予防目的で被覆材を貼付3)術後0~10日目まで、自作の「頚部装具使用患者の皮膚観察用紙」にて観察を行った。MDRPUの深達度はNPUAP分類で評価、創痛はNRS(Numerical Rating Scale)で評価した。A病院倫理審査委員会の承認後(承認番号2022017)、対象に匿名性・負担・情報管理・実践内容の発表予定・参加自由を書面説明し同意を得た。【結果】 研究前にハードカラー(以下ハード)とソフトカラー(以下ソフト)の可動域差がない事を確認。 頸椎安静における創部離開は双方共に未発生。 皮膚トラブルは、発赤は双方1名。NPUAP 分類Ⅰはハードのみ3名。 痛みは、離床前でハードNRS3が1名、ソフトNRS6と7各1名。離床後はハードNRS1が1名、NRS2が3名、ソフトはNRS1のみ3名。【考察】 頸椎安静については、双方とも差はなかった。 カラーの接触面について、体圧が高いほどMDRPUリスクがあるが、ハードと比較しソフトは柔軟性があるため、体圧が分散し発生予防に繋がったと考える。また、接触面の摩擦やズレも、MDRPUリスクとなる。そのため、接触面の摩擦が大きいハードには予防目的で鎖骨部に被覆材を貼付したが、未貼付のソフトよりMDRPUの発生が多かった。田中らが、「素材が硬く柔軟性に欠ける場合は、肌触りが悪く、皮膚や軟部組織への刺激が強くなり、皮膚への摩擦やずれが生じるほか、不快刺激となる可能性がある」と述べているように、ハードの素材は柔軟性に欠けるため、ソフトより摩擦やズレを生じ、MDRPUに繋がったと考える。 創痛緩和については、ソフトはハードと比較し厚みがあり、下顎部の接触面が広く重い頭を安定的に支えるため、離床後のNRS 2以上0名に繋がったと考える。【実践への示唆】 ハードとソフトの頸椎安静効果に差はなかったが、MDRPU予防や疼痛緩和にはソフトが効果的である事が示唆された。本研究は対象者が少なく効果検証に限界がある。