第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター3群 周術期の看護①

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:松沼 早苗

[ポスター3-5] 前立腺全摘除術後の日常生活に及ぼす影響

RALP術後患者へのアンケ-ト調査から

毛利 涼子, 本間 愛, 齊藤 真由美, 三浦 咲菜 (札幌厚生病院)

【緒言】A病院ではロボット支援下前立腺全摘除術(以下RALP)を202X年より導入した。二大合併症の尿失禁と性機能障害は、術後3か月まで継続支援が必要と言われているが、日常生活への影響は明らかになっていない。パンフレットを用いて退院指導を行う中で、様々な残存症状に対する訴えや質問を受けることがあり、退院後のアンケート調査により明確にし、指導内容やケアの向上に繋がると考えた。【目的】RALP術後患者の残存症状による日常生活への影響を明らかにする。【方法】202X年10月1日~202X年12月31日の期間で、A病院でRALPを受けた患者39名を対象に、無記名アンケートを行い①年齢②職業③症状(尿失禁、勃起障害、皮膚トラブル、排尿時痛、会陰部痛、創部痛、残尿感、肛門違和感、気分の落ち込み)と持続期間、日常生活への影響④パンフレット内容について無記名アンケートを実施した。①から③は選択式・一部自由記載で単純集計、④は自由記載とし症状別で分類し解析をした。この研究はA病院の倫理審査委員会での承認を得た。(承認番号A-695)【結果】回答率82%(32名)で平均年齢は67歳であった。就業者は21名66%で会社員や建設業などであった。症状は尿失禁25名、勃起障害26名と多く、その内7割が1年以上症状が持続し「尿もれは外出時に不安になる」や「勃起神経を切られて男でなくなった」等の苦痛があった。その他、皮膚トラブル3名、排尿時痛3名、会陰部痛7名、創部痛6名、残尿感6名、肛門違和感5名、気分の落ち込み(不眠・自信喪失等)9名で、創部痛を除くすべての症状で1年以上持続した人が1割だった。それ以外に自由記載で鼠径ヘルニア症状の訴えが1名いた。パンフレットは「分かりやすかった」が32名だったが、「尿もれは個人差がある事や、勃起障害についてもっと知りたかった」等の意見があった。 【考察】尿失禁と勃起障害は8割に症状があり、仕事や睡眠などに影響を及ぼしていた。勃起障害は自信喪失等の精神的苦痛に加え、羞恥心から不安や疑問を表出しにくい一面がある事が無記名という形式の調査で明らかとなった。会陰部痛・肛門違和感は2割だが、「長時間坐位が保てない」「自転車に乗れない」など日常生活への影響が強かった。更に晩期合併症である鼠径ヘルニアは、患者自身で受診行動を取らなければならないため、入院中の指導が必要となる。以上の結果より、入院中から仕事や社会面での活動についての具体的な聞き取りを行い、指導に繋げるとともに、残存症状は長期に渡り症状を抱えている患者がいるため、外来や多職種と連携を強化していく必要がある。【結論】1.尿失禁・勃起障害に加え、会陰部痛や肛門違和感等の症状は1年以上持続する場合があり、仕事や外出などの日常生活に影響を及ぼしている事から、入院中からの介入に加え外来での継続支援が必要2.勃起障害は表出しづらいが、男性としての自尊心に影響するため精神的支援が必要