[ポスター32-2] 回復期リハ病棟の環境整備に対する意識調査
~インタビューから見えた課題~
【緒言】 医療界で環境整備として整理、整頓、清掃、清潔、躾(以下5S活動)が取り入れられてから20年が経過している。A病院回復期リハビリテーション病棟(以下B病棟)では、環境整備に対して業務改善を実施し、多種多様な取り組みがされている一方で、一時的に改善しても継続できなかった取り組みも多く、継続できるかが課題である。また、病室には車椅子が何台も無造作に置かれており日頃の環境整備に関して意識の低さが問題となっている。そこでB病棟看護職員が療養環境の環境整備における現状についてどのような意識を持っているのかを知りたいと考えた。【目的】 環境整備に対する考えや思いを聞き取り、その意識を明らかにする。【方法】 B病棟看護職員に面接調査を行い、現在の環境整備の状況と実態について聞き取りし、考えや思いを抽出し、コード化、カテゴリー化する。本研究はA病院医療倫理規定に基づき、倫理委員会の審査を受け承認を得た(承認番号:9-20230620)。【結果】 B病棟看護職員16名に対して、10~15分程度の面接を1人1回ずつ行った。調査期間は20XX年Y月~Z月とし、意識調査を行った結果、67個のコード、12個のサブカテゴリー、5つのカテゴリーが抽出された。以下〈〉はカテゴリー、[]はサブカテゴリーの一部を示す。〈看護師の環境整備への意識の違い〉[清潔に関する意識]、〈環境整備の難しさと限界〉[時間的制約による整頓の難しさ]、〈患者の価値観と要望の尊重〉[患者の価値観と整備の調整]、〈リハビリテーションとの関連と連携〉[環境整備とリハビリテーションのバランス]、〈チームワークと情報共有に対する考え〉[チーム全体の環境整備の調和と共有される視点]が抽出された。【考察】 B病棟の環境整備において看護師は、各々の環境整備への意識の違いや環境整備の難しさと限界を感じており、環境整備が必要であるという意識はあったが、行動にまでは至っていない。また、患者に対しては、コミュニケーションをとりながら要望やこだわり、価値観を理解し尊重した環境づくりを行う一方で、安全・清潔のために必要な整理整頓を行うこととの調整に難渋している。チームワークと情報共有に対する考えにおいては、セラピストとの視点の違いを考慮しながら、多職種で連携を取るといった課題がある。今後は、スタッフ間で環境整備に関する情報共有を強化し、環境整備の基準の作成や、リハビリテーションスタッフと看護師との協力体制を構築し、患者の環境整備において各職種の専門性を統合する方法を検討していく必要がある。【結論】環境整備を意識的に実施しているが、患者の価値観と要望の尊重から難しさと限界を感じている事、患者個々の背景を把握して患者の安全と快適さを意識している事、リハビリテーションとの連携や情報共有の必要性を意識していることが明らかになった。