第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター32群 業務改善に向けた取り組み②

Sat. Sep 28, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:岩澤 由子

[ポスター32-3] 静脈注射認定看護師の職務満足度の特徴

永川 裕基, 後藤 悌嘉 (長崎県島原病院)

【緒言】日本看護協会は、2002年の厚生労働省医政局長通知を受け、2003年に「静脈注射の実施に関する指針」を作成した。これを受け全国の主幹病院で、静脈注射・輸液管理院内認定看護師(以下;IVナース)が誕生し、抗がん剤や造影剤、放射線薬剤の血管確保と静脈注射も看護師の業務となった。A病院においてもIVナース院内認定制度が開始となり、現在では約7割をIVナースが担っており、医師から看護師へのタスク・シフトの推進に大きく貢献している。今後もIVナース認定者を継続的に育成していくため、本調査においてIVナースに対する必要な支援を検討したいと考えた。【目的】IVナースの満足度の実態と傾向を明らかにすること。【方法】1.期間:令和X年6月~12月2.対象: IVナース25名および、スタッフ看護師(以下;看護師)28名。3.データ収集方法:改訂版看護師職務満足尺度を用いた、個人属性と自由記述を含むアンケートを作成しGoogleフォームによって回答を得た。5.データ分析方法: EZRソフトを用いて記述統計を算出し、IVナース群と看護師群との二群間でt検定を行い分析した。自由記述については意味のあるまとまりでコード化し、類似性をもとに分類した。6.倫理的配慮:A病院の看護研究倫理審査委員会の承認(承認番号5A第62号)を得た。対象者に対して、意義、目的、方法、参加は任意であることを説明し、回答を送信することにより同意が得られたものとした。尚、本研究において利益相反関係にある企業などはない。【結果】回収率は86.8%で有効回答は84.7%であった。IVナースのほうが職務満足度が高かったが、有意差が生じた項目はなかった。IVナースのほうが「勤務シフト」、「給与」、「労働環境」といったハード面が高く、「同僚との関係」、「看護チームの協力関係」等といった周囲のスタッフとの関係形成に関する項目は看護師が高い結果となった。自由記述では「業務量調整をしてほしい」、「点滴確保をする患者の治療内容の情報収集をする時間が欲しい」といった記述が得られた。【考察】IVナースは、看護師と比較して総合的な職務満足度が高い傾向がみられた。しかし、周囲のスタッフとの関係形成に関する項目で満足感が低い傾向となっていた。自由記述においても、業務量調整や、患者の情報収集の時間が欲しいとの記述があり、業務量について偏りを感じている可能性が考えられた。IVナースの能力を発揮するため、周囲からの配慮が行えるよう、組織文化を醸成する必要性があることが示唆された。【結論】1.IVナースは看護師よりも総合的な満足度が高かった。2.IVナースは周囲のスタッフとの関係形成に関する項目で満足度が低く、業務量に対する負担感を感じている可能性がある。3.IVナースの活動が行いやすい様に組織文化を醸成させていく取り組みが必要である。