第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター4群 新人看護職の思い

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:井出 由起子

[ポスター4-6] 卒業年次の看護学生の不安要因の変化

新卒看護師の早期離職防止に向けて

古賀 幸子1, 北﨑 美咲枝2, 石田 有紀3 (1.柳川療育センター, 2.津屋崎中央病院, 3.久留米大学)

【緒言】新卒看護師の早期離職の理由はリアリティショック、労働環境、人間関係が主とされている。日本看護協会による2022年病院看護実態調査の報告では、新卒看護職員の離職率は10.3%と前年より上昇し、その背景には新型コロナ感染症の影響が一定程度あったとされる。具体的には、在学中の臨地実習による経験不足から看護技術習得の遅れが指摘されている。【目的】本研究はウィズコロナからアフターコロナを経験した卒業年度にあたる看護学生(以下、卒業年次生)の不安要因の変化を明らかにし、新卒看護師の早期離職防止に向けて検討することを目的とする。【方法】研究参加者はA地区の看護学校6校の看護学生で、オンラインにて質問紙調査を2回実施した(202X年4月と9月)。本研究での卒業年次生は、2年課程の2年次、3年課程の3年次、4年課程の4年次に在籍する看護学生と定義した。調査内容は、全般的な不安の程度(10項目)と学校生活における不安尺度(5因子:講義、実習、人間関係、将来、学生生活)で、いずれも4件法で回答を求めた。分析は対応のあるt検定で1回目と2回目を比較し、有意水準は5%とした。研究参加者には、研究目的・方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないこと、個人情報保護について文書と口頭で説明を行い、回答の送信をもって同意されたものと判断した。本研究はA校の倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号 第37号)。【結果】分析対象は、質問紙調査を2回とも回答し、回答に不備のあった者を除いた93名とした(有効回答率52.8%)。分析対象は女性が86名(92.5%)、20歳代が76名(81.7%)、2~3年課程が82名(88.2%)であった。全般的な不安の程度は、1回目と2回目で有意差はなかった。学校生活における不安を因子別にみてみると、1回目と比較して「講義」と「人間関係」は2回目の方が有意に低く(t(184)=2.79, p=0.006:t(184)=3.54, p<0.001)、「将来」は有意に高かった(t(184)=3.41,p<0.001)。【考察】卒業年次生の全般的な不安には変化がなかったが、講義と人間関係に関する不安は低下していた。これは2回目の調査時期が9月で、講義や実習が一段落する時期であり、無事に終えることができた達成感が影響していると推察される。また、将来に関する不安は高くなっており、国家試験や就職がより現実として実感されていることがうかがえる。先行研究によると新卒看護師を支援するためには、教員と卒業生との相談の場づくりが推奨されている。新卒看護師の離職防止には、在学中における学校と就職内定先の臨床側が連携し、組織的な相談支援体制を構築する必要がある。【結論】卒業年次の看護学生は、後期に「将来」の不安が高くなることから、看護学校と就職内定先の臨床側が連携し、卒業する前から組織的な相談支援体制を構築することで新卒看護師の離職を防止する可能性が示唆された。