[ポスター51-4] 看護学生の看護実践能力に関する文献検討
【緒言】看護学生の看護実践能力の育成は,重要な課題である.しかし,看護基礎教育修了時における看護学生の看護実践能力に影響を与える要因までは明らかになっていない.【目的】研究の目的は,ナラティブ・レビューを用いて看護学生の看護実践能力を育成するために必要な関連要因について明らかにすることである.【方法】対象は看護学生の文献とした.医中誌WebⓇとCiNiiⓇを用い,キーワードは「看護実践能力」and「看護学生」and「看護基礎教育」とした.文献検索の包含基準として原著論文,研究報告等および抄録ありに限定し,看護学生の最終学年を対象としていることとし,加えて看護実践能力について定義している,または看護実践能力に影響を与えている要因についての記述があるとした.除外基準として,総説,会議録等とした.なお,研究デザインは問わないとした。分析方法は,看護実践能力に影響を与えるあらゆる要因を抽出して整理した.【結果】文献検索エンジンで153件、ハンドサーチ3件が検索され,最終的に計27件の文献を採用した.対象は大学19件(70%),短期大学5件(19%),専門学校2件(7%),全国の看護基礎教育機関1件(4%)であった.看護実践能力の評価指標は,看護学士課程教育におけるコアコンピテンシーと卒業時到達目標(6群66項目)・学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標(5群20項目)を用いたものが7件(26%)であり,他は尺度開発3件(11%),看護実践力尺度1件(4%),看護学生のための学習活動自己評価尺度(看護学実践用)1件(4%),PROGテスト1件(4%)であった.看護実践能力に影響を与える要因として,臨地実習11件(41%),技術演習6件(22%),カリキュラムや科目履修状況5件(19%),コミュニケーション能力1件(4%)であった.臨地実習では,対象理解,看護過程の展開,思考力の育成が必要と報告されていた.演習では,ビデオ視聴による自己評価や技術チェックリストの活用,OSCEなどが活用されていた.また,eラーニングは情報活用の実践力の向上に関連し看護実践能力に効果的な影響を及ぼすと報告していた.【考察】看護実践能力に影響を与える要因として,臨地実習が最も多く,次は演習であった.特に,臨地実習では看護過程を展開する上で,対象者を把握するためのコミュニケーション能力,目的に応じて既習の知識などさまざまな情報手段を適切に活用して判断し看護計画などに表現する情報活用に関する能力が必要となる.そのため,臨地実習を介して,情報活用能力が育成され、看護実践能力に影響すると考えられた.【結論】基礎看護教育課程修了時の看護学生の看護実践能力に影響を与える要因は,臨地実習に関係する内容であることが示唆された.