第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター51群 看護基礎教育①

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:花井 理紗

[ポスター51-5] 3年課程(定時制)看護師養成所の変遷と役割

田中 直美1, 松本 伸子2, 細川 美佳1 (1.名古屋市立中央看護専門学校, 2.(元)名古屋市立中央看護専門学校)

【背景】看護師の充足対策として、学びながら働く「3年課程(定時制)」の看護学校として、昭和50年に全国で初めて発足した当校は、約50年にわたって市域の医療機関に貢献しうる看護師を養成してきた。平成16年全国3年課程(定時制)看護学校協議会で就学状況や養成所の役割について調査されている。その後20年、看護の大学化が加速し看護を取巻く社会情勢の変化の中、看護学校運営も変化が見られ、当校も閉校を予定している。【目的】3年課程(定時制)看護学校が果たした役割を考察するために、開校から閉校(予定)までの変遷を調査し分析する。【実践内容・方法】昭和50年~令和4年までの①3年課程(定時制)看護学校の推移②入学志願者数の推移③入学志願者の背景④学生のライフスタイルの変化⑤卒業時の就職先⑥看護師国家試験結果の推移についてデータ収集し分析する。倫理的配慮としては、データは学校の運営会議や学校評価で公表されたものであり、個人の特定をせず表現している。【結果】①3年課程(定時制)看護学校の学校数は、昭和50年2校から始まり平成9年14校をピークに令和7年には5校になる見込みである。②入学定員は開校時70名から昭和55年160名をピークに平成25年から40名となり以後入学志願者の割合は低下している。③入学志願者の背景は、開校時は医療施設で「学びながら働く」という学生が多く、他県からの志願者が8割を超えていた。しかし他県においても看護師養成所や医療施設の増加、生活背景の影響から入学志願者が減少し令和3年には市域の入学志願者が7割となった。④学生のライフスタイルは、高校卒業者が多く医療施設で働くのが主であったが1997年「准看護婦養成所、看護婦養成所等が生徒に医療機関勤務を義務づけることを禁止するための省令」の影響もうけ令和4年では医療施設で働く学生は4割であり、働く場も飲食店やコンビニエンスストア、年齢も社会人の割合が多い。⑤就職先は、開校当初より8割以上が市域及び県内の医療施設に就職しており卒業生の進路に変化はあまりない。⑥看護師国家試験結果は、毎年全国平均を上回る結果である。【考察】看護師不足による看護師養成の必要性により、3年課程(定時制)が発足したが、看護を取巻く社会情勢の変化や18歳人口の減少および看護の高等教育化、保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改定とともに、「学びながら働く」というライフスタイルに変化が見られ、3年課程(定時制)の志願者が減少した。しかしこれまでの卒業時の就職先は、市域あるいは県内の大規模や中小規模の病院などが主であり、本校の設置目的および3年課程(定時制)看護学校の役割を果たしてきたといえる。【実践への示唆】3年課程(定時制)看護学校の学校数は減少しているが、必要とする地域もある。看護師養成の選択肢として引き続き質の高い教育が必要である。