第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター60群 看護の質向上のための取り組み②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:野口 香

[ポスター60-1] 整形外科病棟看護師の退院支援の現状と課題

渡邊 明恵, 内野 恵美, 室谷 奈津実, 竹田 さおり (北海道整形外科記念病院)

【緒言】看護師はいずれ訪れる退院に向かって入院当初から動かなければならない。退院支援に関して看護師が直面する問題点は退院支援の流れの知識不足、コミュニケーション不足、家族への対応困難という事が明らかになっている。退院後の患者のQOLを向上させるために、退院支援の質を向上させる必要がある。【目的】A病院の急性期病棟の看護師が実施している退院支援の現状を把握し、今後の円滑な退院支援に繋げるため課題を明らかにする。【方法】202X年6月~7月に退院支援に関わった看護師73名を対象とし、6項目の無記名自記式質問紙留置法を行った。データー解析はSPSSVer.22を用い看護師の経験年数と退院支援の開始時期との関連はχ2検定(Fisherの直接法)を行った。対象者には本研究の実施及び公表に関し、匿名性、任意性並びに不参加であっても不利益は生じないことを文章で説明し、質問紙の回答をもって同意を得た。本研究はA病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号101)。 【結果】質問紙の回収率は89%(65名)、有効回答率は100%(65名)であった。「退院支援の関り」は、できている3.1%(2名)まぁまぁできている63.1%(41名)あまりできていない33.8%(22名)できていない0名であった。「退院支援の開始時期」は、入院時66.1%(43名)手術後6.1%(4名)ADL拡大時24.6%(16名)退院決定後1.5%(1名)であった。「困難と感じている事」は、知識不足73.8%(48名)他職種連携27.6%(18名)患者、家族への意向の確認46%(30名)時間がない49%(32名)進め方が分からない7.6%(5名)であった。「行っている退院支援」は、医療処置69%(45名)ADL評価86%(56名)環境調整84%(55名)本人の意向確認89%(58名)家族の意向確認41.5%(27名)他職種連携64%(42名)であった。退院支援の開始時期は4年未満ではADL拡大時55.5%。4年以上では入院時が71.4%で有意差があった(p<.05)。【考察】退院支援が困難と感じている理由は、時間が無いよりも知識不足が多かった。また、患者・家族への意向の確認は約半数が困難だと感じており、患者本人の意向の確認は行えているが、家族の意向の確認は約半数は行えていない。経験年数で退院支援の開始時期に差があるのは、4年以上では過去の経験により早期の関りができていると考える。入院時から先を見据えた退院後の想定が必要となり、他職種との連携を強化し、患者・家族の希望に添える環境を整え、退院後に不安・無理なく過ごせるよう考えていく事が重要となる。【結論】看護師の経験年数で退院支援の開始時期に差がみられた。看護師の経験のみに頼るのではなく他職種と連携し一定レベルの知識を身につけ、患者・家族と共通の目標を持ち入院時から関わっていけるような勉強会の開催の検討が今後の課題である。