[ポスター60-4] デノスマブ使用患者の指導ツールの開発過程
【緒言】X病院一般外来では骨粗鬆症および関節リウマチに対しデノスマブを使用した治療を行っている。外来看護師は、血中Ca値の低下や顎骨壊死の予防、診断別の施注間隔など目的を理解した上で、看護の専門性を発揮した患者指導を行う必要がある。治療の継続や主体的な行動変容に繋がる支援ができるよう看護師が知識向上のための勉強会に参加後、グループワーク(以下GW)を実施し、指導ツールの開発に至ったのでその過程を報告する。【目的】看護の専門性を発揮した患者指導を行うために、外来看護師を対象とした勉強会の評価と指導ツールの開発過程を検討する【方法】外来看護師30名を対象に、医師と製薬会社による診断基準、副作用、施注間隔に関する勉強会を開催後、少人数のGWで①指導方法②患者への声かけ③情報伝達支援について議論し、勉強会前とその3ヶ月後に治療方針の理解度(10点満点、以下「理解度」)と患者への説明項目数(13点満点、以下「項目」)について自記式アンケートを実施、平均値を比較した。次に、GWの内容を検討し指導ツールの作成を行った。アンケートは使用目的と個人が特定されないよう配慮することを説明の上、回収箱への投函により同意とみなし、X病院倫理委員会の承認(通知番号2024-2)を得た。【結果】「理解度」前:平均値5.8(最低2,最高10)点、後:平均値6.6(最低3,最高10)点。「項目」前:平均値6.3(最低0,最高12)点、後:平均値9.2(最低2,最高13)点。GWで①「視認性の高いパンフレットで説明」「患者自身が記入」②「治療への思い」「医師からの説明内容の理解度」を確認する③「お薬手帳」「歯科への連絡票」の活用について意見が出たため、絵や文字の大きなパンフレットと、副作用の有無や患者の考えおよび生活情報などを患者自身が記入するセルフチェックシート(以下「シート」)を作成した。【考察】勉強会で指導に必要な知識を強化し、GWで患者に対する支援方法や指導技術について共有したからこそ、勉強会前に比べ「理解度」の向上と「項目」が増加し、「シート」に看護師が指導時に確認したい内容を反映することができたと考える。この「シート」を最大限に活用するには、積極的に治療に参加できるよう診察前に患者自身が記入し、施注毎に看護師と診察結果や受診日以外の日常生活について語り合い、対話の中で患者自身が治療に対する理解を深めることが重要であり、それらに対する支援や技術が看護の専門性であると考える。【結論】知識強化のための勉強会および指導に関するGWにより「理解度」の向上と「項目」の増加を図り、患者参加型の「シート」を開発することができた。本研究の限界は「シート」の効果や患者満足度を評価していないことであり、今後の課題は患者の意見を取り入れながら継続的に支援することである。