[ポスター60-6] 人工膝関節術後患者の在院日数短縮に向けた取り組み
緒言A病棟では人工膝関節全置換術(以下TKA)患者は、術後リハビリ以外はベッド上で過ごすことが多く、ADLの拡大に時間がかかり、杖歩行移行日から退院まで日数を要していたしていた。先行研究で、患者は疼痛や腫脹がある状態では、退院後の生活を容易に想像できない。また、自主トレーニング(以下自主トレ)は関節可動域拡大や腫脹・熱感の軽減に効果があると報告されている。自主トレを取り入れることで早期退院に繋がるのではないかと考えた。目的TKA患者へ自主トレを組み入れたパンフレットを作成し、指導することで杖歩行移行日から退院までの日数の短縮が可能かを明らかにする。方法202X年3月~7月に入院したTKA患者(以下介入群)を対象とし、前年度の同期間内のTKA患者(以下非介入群)との在院日数、杖歩行移行日から退院までの日数を単純集計し平均値を算出し、介入群・非介入群との比較を行った。介入群には自主トレ方法、退院後の生活等を記載したパンフレットを用い、入院後から段階的に説明した。また、自主トレの声かけ、患者の反応を記録した。自主トレは患者自らが実施した回数を自主トレチェック表に記載し、1病日と14病日の自主トレ回数の平均値を算出しその推移を比較した。対象者には研究の目的・方法、参加は自由意志、学会等で発表することを文書を用いて説明し同意を得た。所属機関の臨床倫理審査で承認を得た(承認番号2023-076N)。結果総数は介入群9名(平均78.6歳)、非介入群9名(平均77.2歳)であった。介入群の杖歩行移行日から退院まで要した日数は平均17.2日、在院日数は平均28.8日、非介入群の杖歩行移行日から退院までの日数は平均18.5日、在院日数が平均30.1日であった。自主トレの一種では、1セット20回の自主トレ実施回数は、術後1病日では平均4.1回だったが、術後14病日では平均23.0回で、日数を重ねるごとに実施回数の増加が見られた。介入群からは「頑張って褒められると嬉しい」「困ったらこれ(パンフレット)を読むと良いね」等の反応があった。考察看護師からの自主トレの促しや声掛け、労いや称賛が、患者の意欲を向上させ、自主トレの継続および離床の促進に繋がり、早期にADLが拡大したと考えられる。また、自主トレチェック表の運用は実施回数の増加が可視化され、患者自身が次回の目標設定と「自分ならば出来る」と認知できたことで自己効力感の向上に繋がったと考えられる。パンフレットは、退院後の生活にも焦点を当てたことで、退院後の患者にとって安心材料となった可能性が高い。これらのことから、杖歩行移行日から退院までの日数の短縮に繋がったと考えられる。結論患者の自己効力感が高まり早期にADLが拡大したことで、杖歩行移行日から退院までの日数が短縮できた。本研究は対象数が少なく、在院日数短縮への有効性を示すには限界がある。対象数を増やすことで、在院日数短縮の有効性を明らかにできるかもしれないと示唆された。