[ポスター63-1] 離島での感染症クラスター発生時の看護管理
クラスター発生から収束までの過程と対策
【背景】202X年7月離島のA病院で新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19とする)院内クラスターが発生した。人員・物資の移送制限のある離島で、看護管理者はクラスター発生に対する自責感・先の見えない不安感と対峙しながら、看護ケアの質を維持するために日々奮闘した。【目的】COVID-19院内クラスター発生時の一連の過程を振り返り、今後の離島における危機的状況下の看護管理に役立てる。【実践内容・方法】A 病院倫理審査委員会の承認を得て(承認番号GM24-03-01)、患者および職員個人が特定できないように配慮し、看護管理資料に基づく実態調査を行った。【結果】感染状況:202×.7月~2週間、入院患者82名中COVID-19 16名・濃厚接触者8名(29.3%)となり、11病室を隔離した。看護職員64名中COVID-19 21名・濃厚接触者3名(37.5%)となり、クラスター発生後1週間は平均11.9名±1.0SDの看護職員が出勤停止となった。看護体制:コロナ禍の緊急時、当院(離島の民間病院)に島内外の応援看護師はなかった。看護要員確保のため、常に島内外の感染状況、患者・職員のコロナ感染、現場状況を把握し、先を見据えた現場采配をした。看護ケアの質が低下しないよう自施設の看護部全体で人員配置を再考して臨時部署異動、夜勤ケアスタッフ増員を行った。感染防止対策:院内へのCOVID-19の伝播を防ぐため、来院者の制限と職員の不要不急の島外への移動自粛要請を行った。ゾーニング・感染対策手順の見直し・職員への指導を徹底し、感染拡大を阻止した。離島では不足物資が即時に入荷されないため、先を予測して物資を確保し、創意工夫して限られた資源を有効活用した。精神的支援:島内で感染が蔓延し、病床がコロナ患者で埋まることへの危機感や先が見えない不安感に対して看護管理者は職員に適宜声を掛け、不安や不満を受け止め、気持ちが途切れないように寄り添い精神的支援を行った。【考察】クラスター発生時の看護管理実践のポイントの一つとして「感染症対策を含むさまざまな人的・物的支援を職員に届ける」とある。しかし、離島の危機的状況下では人員・物資の確保が難しいため、看護管理者は①常に危機意識を持ち、タイムリーに現状把握と情報共有を行い、先を見据えて瞬時に対応すること、②限られた状況で最善の人員を配置し、看護ケアの質の低下がないよう業務を工夫すること、③感染対策が徹底できるよう細やかな現場支援を行うこと、④職員が気持ちを切らさず勤務を継続できるよう、職員の不安や不満に耳を傾け、精神的支援を行うことが重要であると考えられた。【実践への示唆】離島における危機的状況下において、看護管理者は常に先を見据え、創意工夫しながら人と物の管理を行い、職員の気持ちを切らさず、看護の質を維持することが重要である。