第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター63群 新興感染症に対する取り組み

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:坂本 三智代

[ポスター63-6] 新型コロナウイルス感染症対策と医療の質、看護師労務状況の分析

高度急性期病院における

小栁 礼恵1, 眞野 惠好2, 高井 亜希2, 佐野 友香2, 須釜 淳子1 (1.藤田医科大学保健衛生学部看護学科, 2.藤田医科大学病院)

【緒言】2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により、高度急性期病院では重症感染患者と通常の重症患者を受け入れることにより繁忙度が増したと思われる。新興感染症患者の増加は予測不可能であり、高度急性期病院へ変化の応じた対応が求められる。病院は状況が変化をする中、医療の質の維持に努めつつケアを提供する看護師の労務環境の調整を行わなくてはならない。【目的】本研究では、高度急性期病院における新型コロナウイルス感染症患者への対応と「医療の質・医療提供体制」「看護師の労務状況」の変動を客観的に分析することにより、「新興感染症拡大時の医療の質、看護師の労務状況」への対応方法について示唆を得ることを目的とした。【方法】研究デザインは後ろ向き観察研究である。調査期間は新型コロナウイルス感染症拡大前から感染拡大後の30ヶ月とした。調査対象は高度急性期病院1施設とした。調査項目は、新型コロナウイルス対策、医療の質・医療提供体制、看護師の労務状況とした。本研究はA大学医学研究倫理審査委員会の承認を受けて実施した。【結果】対象施設は新型コロナウイルス感染拡大第1波の時期に、新型コロナウイルス対策本部を立ち上げ、病院全体の運営、感染対策、人員管理等の管理を開始した。同時に軽・中・重度のコロナ病棟を複数病棟設置した。一般病棟では通常診療の維持を崩さないことを目標とした。変化が著しいコロナ病棟にはベテラン層の看護師を配置し、コロナ病棟配置職員が重度患者に対応可能な知識・技術を短期で習得する教育体制を構築した。一般病棟では高度急性期病院における疾患治療の役割を維持するために入院期間の調整、転院または退院調整をすることにより通常診療を維持していた。看護師の超過勤務時間はコロナ対策本部設置数ヶ月後まではコロナ患者数により変動が見られたが、その後は大きな変動が見られなかった。コロナ対策本部と看護部は、感染拡大の当初より看護師の心身の支援と労務環境の維持を優先として医療・看護提供体制の維持をしていた。【考察】先行研究では新興感染症拡大時に看護提供体制を整えるためには看護部長、病院長が主となり看護師の感染への不安に対応することが重要であると報告されている(Takemura et al.,2022)。今回、医療の質と医療提供体制を保ち且つ看護師労務状況を維持可能としたのは、看護管理者が新型コロナウイルス対策本部と共同したことによるものと思われる。【結論】新興感染症感染初期には対策本部の設置、コロナ関連病棟と一般病棟の役割の分割とコロナ患者の対応と感染管理の徹底、通常診療の維持という目標の設定が必要であった。目標達成するためには看護師の心身のサポートに重点を置き、看護提供体制の維持をすることが重要であることが示唆された。