[ポスター8-2] 適切なおむつの選択と装着に必要な要因
―おむつ装着に対する看護師の意識調査から―
【緒言】成人用おむつはヒップサイズを選択基準とするのが一般的で、テープタイプでは正しい装着の目安となる番号の印字がある。介助者の主観で不適切な装着は患者へ不快感や苦痛を与え、漏れによる更衣など看護業務の煩雑化にも繋がる。先行研究では臨床現場でのおむつ選択に関する研究は見られない。またおむつの装着技術動作に関して客観的法則性を有する看護技術には至っていないと述べられている。そこで適切なおむつの選択方法を明らかにすることで不要な更衣を減らし、患者や介助者の負担の軽減になると考え本研究に取り組んだ。【目的】適切におむつを使用している看護師の属性と、サイズ選択と装着を行う際の基準を調査し、適切なおむつの使用に影響する要因を明らかにする。【方法】対象:A病院に勤務する看護師583人。方法:Web上での無記名アンケート調査により、基本属性(部署・看護師経験年数・部署内での役割)とおむつに関する研修受講歴・おむつの選択と装着方法の関連を調査した。分析:IBMSPSS Statics28®を使用して、χ二乗検定にて単変量解析を行い、ロジスティック回帰分析にて多変量解析を行った。本研究はA大学病院倫理委員会の承認を得て実施した。承認番号729-5-39【結果】回答率53%(309名)。おむつサイズ選択の基準に「ヒップサイズ」と回答した者は成人病棟では132人(42.7%)他の部署は95人(30.7%)と、成人病棟は他の部署に対し有意に正の影響があった(P=0.009)。また、研修受講者との関連は、研修の受講歴がある者は13人(42.3%)研修受講歴のない者は96人(31%)で、研修受講者は未受講者に対しおむつサイズ選択の基準に「ヒップサイズ」と回答していることと有意に正の影響があった(P=0.011)。おむつの装着に関して、成人病棟ではおむつに印字された番号を意識している者は93人(30.1%)、他の部署は50人(16.2%)と、成人病棟は他の部署に対し、有意に正の影響があった(P=0.001)。また、研修受講歴がある者では90人(30.4%)、研修受講歴がない者では50人(16.2%)であり、研修受講者は未受講者に対し番号を意識していることと有意に正の影響があった(P=0.001)。【考察】おむつに関する研修受講者は未受講者に対し、ヒップサイズでのサイズ選択と、番号を意識した装着の両方で有意な関連があり、研修が効果的であったと示唆される。また、成人病棟が他の部署に対し、おむつの選択と装着どちらも有意な関連があった事から、成人病棟はおむつ交換の機会が多く、学んだ内容を臨床の場で実践する機会が増える事が要因と考える。【結論】A病院での適切なおむつのサイズ選択と装着方法には、研修と臨床の場での継続的実践教育が有効であった。今回はおむつの選択と装着方法に着目して研究を行ったが、おむつの装着技術に関する全ての要因を明らかにできていない。また、臨床現場ではヒップサイズをどのように認識しているかも不明なため今後の課題とする。