第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター8群 排泄ケア

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:中村 京子

[ポスター8-3] A病院における排泄日誌活用の現状と課題

川原 友恵, 川上 優, 新山 三恵子, 笹森 祥子, 木村 英子 (十和田市立中央病院)

【緒言】排尿日誌は、排泄障害タイプの判断ができるアセスメントツールとして排尿ケアの選択がしやすいと言われている。A病院では排尿と排便をあわせた排泄日誌を作成し、患者の排泄状態を把握するための指標として運用しているが、排泄日誌が排泄ケアに活かされているとは言い難い。そのため排泄日誌の活用状況を調査し課題を明確にすることが必要である。【目的】排泄日誌の活用状況を把握することで、排泄ケアに活かすための課題を明らかにする。【方法】202X年1月1日~3月13日に入院した患者の使用後の排泄日誌を回収し、独自に作成した排泄日誌選別チェックシートを使用して排尿・排便に問題がある患者60名を対象とした。対象者の排泄日誌と電子カルテ記載状況を調査用紙の項目毎に単純集計した。本研究は、A病院倫理委員会の承認を得た(承認番号A-4-5)。【結果】排尿に問題のある患者は14名で、排泄日誌に記載があった項目は排尿量4名、尿漏れ2名であった。電子カルテに記載があった項目は、経過表14名、SOAP7名、経時記録5名であった。排便に問題のある患者は27名で、排泄日誌に記載があった項目は排便量27名、排便性状27名であった。電子カルテに記載があった項目は、経過表27名、SOAP24名、経時記録12名であった。排尿・排便ともに問題のある患者は19名で、排泄日誌に記載があった項目は排尿量7名、排便量と便性状19名であった。電子カルテに記載があった項目は経過表19名、SOAP17名、経時記録10名であった。尿意の有無の記載は12名、尿失禁の有無の記載は11名、残尿感あり2名、残尿感なし17名であった。便意の記載ありは10名、便失禁の記載ありは12名、残便感あり2名、残便感なし17名であった。【考察】排尿に問題がある患者では、排泄日誌へ記載せず、電子カルテへ入力することでアセスメントを行っていたと考える。しかし水分量や尿漏れについての記載は少なく、排尿障害を見極めるためには記入方法や排泄日誌の読み方など詳しい説明が必要だったと考える。排便に問題がある患者では排泄日誌に排便量・便性状が全ての対象患者で記載され、排便の状況把握のため多く活用されていた。排尿・排便ともに問題がある患者では、排泄日誌に排便に関する記載はあるが排尿に関する記載は少なかった。排泄日誌は排便状況の把握には活用していたが、排尿状況の把握には活用されていなかった。排泄障害の有無をアセスメントするためには、記入例の提示や、尿意、便意、残便に関する項目を追加し日誌を有効活用できるよう改善する必要があると考える。【結論】①排尿に問題がある患者は排尿状況を排泄日誌ではなく電子カルテに記載している。②排便に問題がある患者は排便状況を排泄日誌に記載し、排便状況把握に活用している。③排尿・排便ともに問題がある患者の排泄日誌への記載は排泄日誌と電子カルテを併用して記載している。