第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター8群 排泄ケア

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:中村 京子

[ポスター8-4] 超音波監視装置を使用した排便サポートチームの実践報告

排便エコーナース教育システム構築

谷口 弘美, 浦田 克美 (東葛クリニック病院)

【背景】 透析患者において便秘は日常診療でよく見られる症状である。また、入院することで運動量や食事量が減り生活習慣が変化することでも便秘傾向になる。201X年からエコーを使用し便秘のアセスメントを行い多職種で介入する排便サポートチーム活動を開始した。さらに排便エコーナース教育構築について振り返る。【目的】 排便チーム活動と排便エコーナース教育構築の成果を明らかにする。【実践内容と方法】 201X年から排便チームは医師,皮膚・排泄ケア特定認定看護師,超音波検査士,薬剤師,管理栄養士,作業療法士,看護師で結成。週1回の回診を多職種で行った。介入対象は機能性便秘の患者とした。チーム活動を開始しX年経過後の202X年から超音波検査士から看護師にエコー教育を開始した。研修は勤務時間内とし院内で公募をした。研修期間は週1回の褥瘡回診4時間の4回とした。プログラムは皮膚排泄ケア特定認定看護師からの講義、回診の介助、振り返りを行った。演習は臀部モデルを使いエコーのプローブの当て方を習得しベッドサイドで回診介助をした。回診時に超音波検査士に指導を受けた。研修修了審査の方法は、終了日に知識・技術テストを実施し修了証を授与した。【結果】 A病棟では週1回の回診チームが提案したケアの実践を行うなか、排便に関する意識が三つ変化した。一つ目は便秘時すぐに刺激性下剤の増量ではなく、食物繊維や水分摂取量の調整を管理栄養士と共有、相談するように変化した。二つ目は患者さんと一緒に排便プランを考えるようになった。三つ目は大腸刺激性以外の下剤の種類や作用を理解し検討するようになった。エコーで大腸内の便が貯留している状況がわかり便秘のタイプ分類が可視化、排便ケアの立案が可能となった。便秘患者の声として、エコー検査で便の位置が見えて、排便のタイミングが予測できるようになったことが嬉しい、下剤の調整により下痢便が少なくなり心身的な負担が軽減できたなどが聞かれた。下剤使用量は大腸刺激性下剤が19%減少した。202X年エコーナースは8人育成できた。倫理的配慮:A病院倫理委員会にて承諾を得ている。【考察】 慢性血液透析患者は、78.5%が「透析中に排便したいという欲求を抑えていた」というデータもあり、便秘が慢性化しやすい。さらに、下剤使用を必要とする便秘は、HD患者の死亡リスクの増加と関連していたこと、排便頻度の低下が心血管イベントを優位に増加することが明らかにされた。看護師がエコーを使って大腸内の便の貯留状況がわかり便秘のタイプ分類が可視化できることで、アセスメントをもとに排便ケアの立案が可能となることで看護の質向上に繋がる。【実践への示唆】 看護師がエコーを使いアセスメントの上で、ケアを立案することが可能となった。今後は在宅や通院透析患者に対して排便エコーを使い介入していくことが必要である。さらに診療報酬に繋げられるように活動する。