第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

ポスター

ポスター8群 排泄ケア

2024年9月27日(金) 14:15 〜 15:15 ポスター会場 (展示ホール)

座長:中村 京子

[ポスター8-5] 排泄ケアの業務効率化に向けた取り組み

急性期病院におけるおむつの適正使用

岸本 諭美, 三好 あや, 西口 裕子, 中山 絵梨 (関西電力病院)

【背景】A病院の排泄ケアの現状は、看護師の慣例から2時間毎におむつを確認しパッドの汚染を認めれば交換、さらに漏れへの不安からパッドを複数枚使用しおむつの適切な選定や装着ができていなかった。さらに、おむつ交換や漏れに伴う寝具交換により看護業務を逼迫させていた。そこで、皮膚・排泄ケア認定看護師として看護師がおむつの正しい知識や技術を習得すると同時に高吸収尿取りパッドを導入することで交換回数が低減し、看護業務効率化の取り組みが排泄ケアの時間短縮に繋がると考えた。【目的】おむつの特性を理解し正しい装着手技を獲得することで、排泄ケアの看護業務にどのような効果をもたらすのかを検討した。【実践内容・方法】日常生活自立度B~Cでおむつによる排泄介助を必要とする患者が多い脳神経外科・内科病棟において、おむつ装着技術チェックリストを用いて自己評価と直接観察で手技の確認、交換頻度とその理由を把握した。正しいおむつ装着手技を獲得するために、尿のパッドへの吸収状況を可視化することで看護師の行動変容に繋がると考え、おむつ交換トレーニングモデルを用いて演習を実施した。高吸収尿取りパッドを導入し看護師と共におむつ交換回数を1日3回に設定、患者の排泄量に合わせたパッドを選定した。1日3回交換を定着させるために、適正使用をすることで漏れないことを体験し漏れへの不安軽減と、交換頻度が増加することによる患者・看護師への影響について説明をした。同時に、介入した全患者に対し看護師と共に成功・失敗体験を通して装着方法やパッド選定の結果を分析し今後の対策を検討、再評価も含めて直接指導を継続した。本研究は、A病院の倫理委員会の承認を得て行った。【結果】おむつ交換トレーニングモデルを用いた演習により、おむつの特性を理解しおむつの適正使用ができたことで漏れへの不安軽減となりパッドの複数枚使用がなくなり、かつ1日3回の交換が定着した。また、成功・失敗体験を通しての学びを繰り返しフィードバッグすることで、正しい装着手技と患者に適した吸収量のパッドの選定が可能となった。さらに、高吸収尿取りパッドの導入により尿漏れとそれに伴う寝具交換の件数やおむつ交換回数が低減し、夜間1回のおむつ交換に要する時間が1時間程度から20分程度に減少した。皮膚障害の新規発生、悪化はなかった。【考察】おむつの特性と吸収後のパッドの肌触り感をおむつ交換トレーニングモデルでの演習で体感し、同時に成功・失敗体験を通しての学びが看護師の意識変化となり行動変容となった。そのことにより、漏れへの不安が軽減し1日3回の交換回数が定着したことで看護業務の短縮化に繋がったと考える。【実践への示唆】おむつの適正使用は、看護業務効率化となり業務削減となった。また、夜間の交換回数の低減により患者の睡眠の質が確保でき、昼夜逆転やせん妄の発生低減に繋がることが示唆された。