[SY3-5] 地域・職域連携による健康危機に強い地域づくりを考える
大規模事業場に所属する専門職の立場で感染症対策や災害対策を考える時、これまでは自己完結できる想定であったように思う。しかし、コロナの感染拡大を受けて、その予防は従業員や家族間の努力のみならず、地域全体を網羅した対策を講じる必要があり、感染者やクラスター発生時においては保健所との連携も生じた。また、産業医や産業保健看護職等の専門職を雇用していない中小規模事業場においては、感染拡大当初、事業場における感染症対策の基準や方法が分からず、保健所には電話が通じない中で、担当者は大きな戸惑いと不安を抱えながら慣れない感染症対応を続けてきた。我々が2018年から開催している、地域・職域ネットワークでは、コロナ禍においてもいち早くオンライン開催に切り替え、職域と地域保健の関係者を繋ぎ、有意義な意見交換ができる場を提供してきた。そして、平時から地域と職域の実践者同士が「顔の見える関係」で繋がっていることの重要性を実感した。この経験を紹介すると共に、地域・職域連携による健康危機に強い地域づくりについて考え、その実現に向けて、今、どのような取り組みが必要なのか示したい。