第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

教育講演

教育講演 看護におけるEBPM/EIPMの推進に向けて

2022年11月9日(水) 12:40 〜 13:40 第1会場 (コンベンションホールA・B)

座長:井伊 久美子

講師:林田 賢史

[IS1-1] 看護におけるEBPM / EIPM の推進に向けて

林田 賢史 (産業医科大学病院医療情報部長)

【抄録】
 エビデンスを尊重しながら政策を立案していく「EBPM(Evidence-based Policy Making)」や「EIPM(Evidence-informed Policy Making)」の重要性は、近年ますます増大しています。 EBPM/ EIPM に取り組むことで、様々な効果が期待できるためです。
 まず、限られた資源(人的リソースや財源)のもと、現状評価や効果検証等を踏まえた、より効果的・効率的な政策の立案や実施が可能となります。また、様々な利害関係者(ステークホルダー)が存在する中、説得力をもったエビデンスや透明性の高い決定プロセスを提示することで、より多くの関係者の納得感を得ることが可能となります。そして、現場の課題や頑張りを的確に表現し政策に反映することは、より良い社会の実現につながります。
 近年、医療分野においては、IT 化や EBM(Evidence-Based Medicine)の進展により、医療に関する大量のデータ(ビッグデータ)が蓄積されるようになってきました。そしてそれらのデータを用いてエビデンスが構築されるようになり、EBPM / EIPM が少しずつ推進されています。しかし、看護分野における EBPM / EIPM はまだまだ発展途上の段階です。
 そこで本講演では、EBPM /EIPM に関連する基本的な内容(意義や必要性、限界等)について、また看護(医療)分野における現状や課題等についてご説明したいと思います。
 看護における EBPM / EIPM を推進するにあたっては、エビデンスを「つくる」、「つたえる」、「つかう」のすべての段階において、多くの課題があります。しかし、看護における EBPM / EIPM の実現は、看護職に限らず広く患者や国民の福利につながるものです。
 本講演が、みなさまの EBPM/ EIPM のさらなる理解につながるとともに、看護における EBPM/EIPM 推進に向け、ともに行動していこうと思っていただく機会になれば幸いです。