第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター1群 在宅療養移行支援①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:村松 裕子

[ポスターM-1-3] 新型コロナウイルス感染拡大状況下におけるA 病院の退院支援に関する課題

-ケアマネジャーへのインタビューからみえたこと-

松永 かおり, 檜佐 美幸, 中村 友子 (天使病院)

Keywords:新型コロナウイルス、ケアマネジャー、退院支援、面会制限

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス感染拡大状況下(以下コロナ禍)での退院支援においてケアマネジャー(以下ケアマネ)が抱える困難とその対処を明らかにし、A 病院の退院支援に関する課題について検討する。【方法】A 病院が所在する地域の居宅介護支援事業所のケアマネ6 名を対象に、コロナ禍での退院支援の困難とその対処について独自に作成したインタビューガイドを用い半構造化インタビューを実施した。対象者に調査協力と録音の同意を得て調査を行い逐語録から得られたデータをコード化、カテゴリ化し質的帰納的に分析した。本研究はA 病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】困難は44 の〈コード〉17 の《サブカテゴリ》6 の[カテゴリ]が生成され、[患者と会えない][患者と家族が会えない][情報を得ることが難しい][退院前に自宅での生活を確認できない][在宅サービスの調整が難しい][自身の安全確保と感染対策]であった。対処は26 の〈コード〉13 の《サブカテゴリ》7 の[カテゴリ]が生成され。[オンラインを活用][多職種連携を工夫して従来通りの形式で実施][動画・写真を活用][電話・書面による情報共有][退院後にプランを検討・修正][家族や前任ケアマネから情報を得る][ケアマネ同士のネットワークを活用]していた。【考察】コロナ禍では[ 情報を得ることが難しい] ケアマネにとって[患者と会えない]ことそのものが困難であり、電話や書面の情報だけでは会えないことの代用には不十分であると考えられた。面会や対面カンファレンスの代わりに[動画・写真を活用]し限られた情報で予測を立て退院後にサービス調整を行っていた。直接会えなくても患者の表情や動作を見ることでケアプラン作成に十分生かせる情報となり得ることから、今後も面会やカンファレンスにオンラインを手軽に活用できるシステムの調整が必要である。退院後の暮らしを考える過程でケアマネも〈家族の気持ちがおいていかれている〉と悲嘆していた。入院により分断されている患者と家族の思いに寄り添い支えることがコロナ禍では特に重視すべき役割のひとつであり病院医療者の責務であると考える。家族が患者の様子をどれだけ把握できているか、それぞれが持つ退院後の生活イメージについて情報を得ておくためには病棟との協力も求められる。患者・家族が会えない中での退院支援について、さらに検討を重ねていく必要がある。