第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター11群 在宅療養移行支援③

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:和田 みどり

[ポスターM-11-5] 在宅における看取りへの看護実践の振り返り

-住み慣れた自宅で、最期まで過ごすために必要な訪問看護の役割とは-

菊池 悦子, 枝村 香緒里, 間瀬 浩之 (ソフィアメディ訪問看護ステーション瑞穂)

キーワード:終末期医療、場所の選択への支援、心身の苦痛緩和、家族支援、多職種連携

【抄録】
【目的】2025 年高齢者の増加に伴う病床数の不足が社会的問題となっており、さらに2030 年には47 万人以上の看取り難民が生じると予想されている。この課題を解決するには、人生の最期を病院や施設ではなく、住み慣れた自宅で過ごす体制の構築が急務である。今回我々は、その課題解決の一助となるよう、当訪問看護ステーションにおいて、在宅での看取りの22 事例について振り返りをし、看取りに関連すると考えられる看護実践の内容について分析を行い検討したので報告する。【方法】2021 年4 月から2022 年2 月までの11 ヶ月の期間で看取りをした22 事例について、年齢、病名、家族状況、療養期間、多職種連携状況、看護記録、グリーフケア記録を基に、在宅での看取りの支援に必要な看護実践の内容を抽出しカテゴリー化を行った。【結果】分析より1 ~ 8 の要素が抽出された。1. 主治医との連携、2. 苦痛症状緩和、3. 本人、家族の最期を迎えたい場所の確認、4. 病状、死への本人、家族の受容段階に合わせた精神的な支援、5. 病状急変時や介護負担の増強時に対応可能な療養場所の情報提供、6. 病状に沿った看取りの経過説明、7. ケアマネージャーや多職種との連携、8. 病状、ADL に応じた医療機器や福祉用具の導入である。【考察】主治医との連携を図り、病状に合わせた苦痛症状の緩和、本人、家族の希望に寄り沿った医療ケアの実践。本人、家族との信頼関係を構築し、介入開始の早い段階で最期を迎えたい場所の確認を行い、病状、死への受容状況に合わせた精神的支援の実践。また一方で病状が急激に悪化した場合や介護負担の増強時に対応できる緩和ケア病棟の情報提供などを行うことにより、家族の身体、精神的負担感の軽減を図る。在宅での看取りの経過について個々の疾患、病状に合わせて丁寧に繰り返し説明を行い、病状、ADL 状況に応じた福祉用具等の社会資源の活用など、ケアマネージャーや多職種との密な連携を図る。これら1 ~ 8 の視点を持ち合わせ、苦痛症状の緩和、死への受容に合わせて希望に寄り添った支援を行った結果、在宅での看取りに繋がったことが示唆された。今後はより事例数を増やし、疾患や家族状況別など在宅での看取りに関連する要因を加えた分析を行い、住み慣れた自宅で家族とともに最期を迎えたいという希望を引き出し、その希望の実現に向けて訪問看護としての役割について追求していきたい。