第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター12群 新型コロナウイルス感染症下の看護~面会制限下の患者・家族への対応~

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:野田 洋子

[ポスターM-12-4] コロナ禍で面会禁止により高齢患者と会えなくなった家族の思い

木村 佳奈, 北方 渚, 白山 早苗 (公立能登総合病院)

キーワード:コロナ禍、面会禁止、高齢患者

【抄録】
【目的】新型コロナウイルス感染症の流行によりA 病院でも面会禁止の措置がとられた。家族からは患者の病状などについて尋ねられることが多くなり、自宅退院に不安を示す家族や、病室から出てくる頃合いを見計らって患者を待つ家族がみられたこともあった。コロナ禍による面会禁止によって家族にどのような思いが生じているのか明らかにするために本研究に取り組んだ。【方法】A 病院の倫理審査委員会の承認を得て開始した。B 病棟に入院中の患者の家族でキーパーソンを対象とし半構造化インタビューを行った。語りから逐語録を作成し、内容の類似性に従いカテゴリー化した。【結果】対象者は女性2 名男性1 名、平均年齢は67.3 歳であった。64コード、15 サブカテゴリー、7 カテゴリーが抽出された。家族は面会できないことへの諦めや不満をどうすることもできず「面会禁止によるやるせなさ」を抱き、入院中の高齢家族の死や病状悪化への不安、認知症の進行への不安から「現状がわからないために募る不安」があった。入院中の様子を知りたいという思いや看護師からの情報提供を要求していることから「入院中の高齢家族の情報を知りたいという強い思い」があり、自分の目で確かめたい思いや面会体制への要求をしていることから「どうにかして入院中の高齢家族と会いたいという思い」があった。情報提供を受けたり、短時間でも面会ができた家族からは「面会禁止の中でも得られた安心感」があった。看護師が忙しそうに感じ、迷惑をかけたくないという「看護師に聞きたくても遠慮する気持ち」を持っており、さらに、会えない期間が長引き辛く切ない気持ちを感じながらも、生きてくれている喜びとこれからの長生きを願い「面会禁止で会えない親を大切に思う」気持ちがあった。【考察】家族は面会禁止によるやるせなさを抱き、情報を得ることが出来ないことにより募る不安と、情報を知りたいという強い思いを持っていることから、患者の様子や些細な変化なども定期的に伝えていく必要があると考える。また、入院中の家族と看護師への思いにジレンマを抱え複雑な心境にあると推測され、面会禁止による家族の精神面への影響は大きいものであると理解し、患者と家族をつなぐ存在として家族の精神面を配慮した関わりが重要であると考える。