第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター13群 看護職の業務に対するモチベーション

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:村田 誠幸

[ポスターM-13-4] 終末期心不全患者との関わりで看護師が抱く困難感

菊池 素子 (岩手県立胆沢病院)

Keywords:心不全看護、終末期、困難感

【抄録】
【目的】循環器病棟看護師が終末期心不全患者との関わりを通して抱く困難感を明らかにする。【方法】研究デザイン:実態調査研究。研究期間:令和3 年6 月~ 7 月。対象者:A病院循環器病棟看護師。方法:看護師のがん看護に対する困難感尺度をもとにアンケート用紙を作成し49 項目について「全くそう思わない」「そう思わない」「あまりそう思わない」「ややそう思う」「そう思う」「非常にそう思う」の6 件法で回答を得た。困難感が70%以上だった13 項目で看護師経験年数0 ~ 10 年と11 ~ 20 年以上で割合を比較した。【結果】質問に回答した者は28 名で、看護師経験年数は0 ~ 10年12 人(43 %)、11 ~ 20 年以上16 人(57 %) であった。困難感が高い順にコミュニケーションに関すること(悪い知らせの後の対応、患者・家族と十分に話す時間が取れない、コミュニケーションがうまくいっていない場合の対応)、システム・地域連携に関すること(身寄りがない患者の在宅療養が困難、経済的問題を抱えた患者への対応)、自らの知識・技術に関すること(急変時の知識、胸部症状や抑うつ、不安、せん妄に関する知識・技術について)、告知・病状説明に関すること(患者が病状説明内容を理解していない)、看取りに関すること(医療者中心の看取りである)であった。年数による比較では8 項目が0 ~ 10 年が高く、2 項目が11 ~ 20年が高かった。3 項目は困難感の割合に差はなかった。【考察】今回、経験年数に関係なくコミュニケーションに関する困難感の割合が高かった。A 病棟では、終末期ケアを優先させたい思いがあるが急性期患者に対するケアに追われる中でゆとりをもって終末期患者へ関わることができず葛藤が生じていると推測される。また、精神的ケアを充実させたい一方で、患者の気持ちを汲み取ることに自信が持てず困難を感じていると考える。加えて身寄りがない患者は望む療養先への支援が難しく検討に悩むことがあり、希望に添えないということが看護師の苦悩へも繋がっている。慢性心不全患者は予後の予測が困難であり急性増悪から死に至るまでの時間が短いことが多く、患者と家族が十分な時間を過ごすことが出来ない現状がある。看護師は日々患者の意向や認識を理解できるよう努め家族を含めた終末期看護を実践していく必要があると考える。