第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター14群 意思決定支援

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:山田 仁映

[ポスターM-14-1] 頭頸部がん患者の治療選択における意思決定支援

-面会制限中の看護師の役割-

里見 香奈, 團塚 恵子, 澤口 宙人 (札幌医科大学附属病院)

Keywords:頭頸部がん患者、意思決定支援、面会制限、COVID-19

【抄録】
【目的】面会制限中における頭頸部がん患者が、意思決定の場面で看護師に求める役割を明らかにする。【方法】A 病院B 病棟に入院中の頭頸部がん患者で、放射線治療および化学療法中又は治療後で、構音障害の自覚がある者を対象とした。インタビューは、面会制限が患者に及ぼす影響、意思決定の際に看護師の関わりで良かったこと等について、半構造的面接法を用いてオンラインで実施した。インタビューで得た情報から逐語録を作成し、頭頸部がん患者の治療選択における意思決定支援と面会制限が及ぼす影響について質的記述的に分析し、カテゴリ化した。対象者には、研究協力は自由意志であること、答えた内容によって不利益は生じないこと等を説明した。本研究はA 病院の看護研究倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】対象者は60 ~ 70 代の男性2 名、女性1 名、インタビュー時間は平均13.6 分であった。頭頸部がん患者の治療選択における意思決定支援と面会制限が及ぼす影響として、17 コードから8 サブカテゴリ、3 カテゴリが抽出された。カテゴリは『面会制限中でも看護師に求められている頭頸部がん治療に合わせた対応と調整』『面会制限中に意思決定をする患者が抱えていた思い』『頭頸部がん患者が面会制限によって意思決定の場面で抱える困難感』であった。患者は、構音障害による「患者自身が家族に治療方針を説明する難しさ」を抱えており「家族と直接会って治療方針を相談したかった」とある一方で、「家族と直接会って相談しても治療方針を決定するのは難しい」といった治療選択における意思決定の難しさを抱えていた。また、面会制限中でも看護師に求められる役割として、「看護師による患者の頭頸部がん治療に合わせた対応」や「看護師による先を見据えた説明」など頭頸部がん治療特有の説明や対応が挙げられた。【考察】頭頸部がん治療の具体例を用いた説明や、今後を見据えた目標を患者と共有することは、効果的な意思決定支援であることが示唆された。これらの対応は、看護師が日常的に実践している意思決定支援であり、COVID-19 流行下においても効果的な関わりであると考える。また、面会制限の有無に関わらず、家族が頭頸部がんの治療選択における意思決定支援に関わることの困難さも明らかとなった。看護師は頭頸部がん患者特有の困難さを理解して、代弁者として患者の思いを家族に伝える役割が求められる。