第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター14群 意思決定支援

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:山田 仁映

[ポスターM-14-5] 治療の継続・中止について揺らいでいる再発、進行がん患者に看護師が行う意思決定支援の実際

阿部 可奈子, 岡部 史奈 (坪井病院)

Keywords:がん、揺らぎ、治療、意思決定、支援

【抄録】
【目的】治療の継続・中止について揺らいでいる再発、進行がん患者に向けて、看護師が行う意思決定支援の実際を明らかにすること。それにより、経験年数の浅い看護師が行える支援についての示唆を得る。【方法】質的記述的研究デザインを用いた。経験年数10 年以上の看護師を対象とし「標準治療の残り少ない段階にある患者が治療の継続・中止について悩んでいる場面に立ち会った際の経験」について半構成的面接を実施した。遂語録からデータを抽出、内容の類似性にそってコード化し、類似性・構造などをみてカテゴリー化した。倫理的配慮として、研究への参加は自由意思であり不参加や途中辞退しても構わないこと、個人情報を保護することを文書と口頭で説明し承諾を得た。【結果】参加者は経験年数15 ~ 20 年、認定看護師2名を含む計6名であった。治療の継続・中止について揺らいでいるがん患者の意思決定支援として『』で表す4 カテゴリーが抽出された。『意思決定の難しさの特徴』:治療の継続や中止の意思決定は、がんと闘うことと生活の質を上げることとの葛藤を意味し、これまでの治療にかける強い思いがある患者にとって治療目標を変えることは受け入れ難く、繊細な場面として看護師に捉えられていた。『患者自らが意思決定できるための支援』:看護師は患者が予想していない「先のことを伝える」などし、患者が後悔しないように支援していた。『意思決定能力の程度を見極める』:看護師は患者もしくは家族の理解力や精神的な許容量があるかを見極めていた。『信頼関係を築く関わり』:繊細な場面であることから、看護師は患者や家族との信頼関係の構築を看護師の経験年数に関わらず重要なものと捉えていた。【考察】治療目標を延命以外に変更するかどうか話し合いを持つことは、治療に対し諦められない気持ちを抱く患者にとって、受け入れ難い内容である可能性がある。しかし、残された時間の生活の質について患者が着目し後悔しない意思決定をするために、「この先のこと」について情報提供を行うことは看護師の重要な役割であると考える。治療の継続・中止に揺らぐ患者への介入は繊細さを要するため、信頼関係を構築した上での看護師のサポートが重要である。しかし患者の思いや悩みを傾聴、受容し、共感的理解を示すことは、経験年数の浅い看護師にも行えることであり、意思決定支援を行う上で重要な信頼関係の構築に繋がると考える。